11/26/2022, 12:25:08 PM
『微熱』
ふと、孕んだ
それは
喧騒と閑静に塗れた微熱
知らぬ間に零れ落ちた
月陽(つきあかり)の灯と片鱗(かけら)
曖昧なまま夢に溺れ
朦朧の中で項垂れた詞
11/1/2022, 2:20:28 PM
『永遠に』
死の最期に詠う裂罅
飢餓の奏上より灰ハ嫌
詩の罪業を滅す恋歌
帰化の総称より肺ハ卑
亥の胎動に憂う廉価
郷愁の騒乱より排ハ今
10/16/2022, 2:29:30 PM
『やわらかな光』
雨音をかいくぐってここまで来たあなた。
しとしとしと、しとしとと。
明るすぎず、暗すぎず、やっと来たあなた。
今しばらくここで踊っていましょうよ。
穏やかに、可憐に、華やかに、そして美しく。
これくらいがちょうどいいじゃないか。
眩しすぎる晴天でもない、
何も見えない曇天でもない。
雨音と陽が織り成すやわらかな光が、
私の心を満たす今日を駆けて。
9/30/2022, 8:09:34 AM
『静寂に包まれた部屋』
「微睡み憂い妬み返し、
過去は蒸れて未来は腫れる」
明日の夜の曖昧さに怯え
変わらない毎日に閑静を求め
情弱なまま攫われる私
声高く称えるあの陽気な鳥
その裏に潜んだ陰気な願い事
遠い昔に掠れ読めない本を手に取って
ただ静かに晩刻を迎えるまで
記録に残せばいい
床が軋んだ
埃が舞った
立ち上がりカーテンを開ける
陽が照らした床は未だ黒ずみ
開かないままの扉は軋む
あと幾年か
9/19/2022, 4:13:19 PM
『時間よ止まれ』
遥か先に吹く春風は
久遠の風音を刻み続ける
夢見鳥は唄い
華奢な花は踊り揺れる
縷縷紡がれるその景色は
晡時になっても色褪せない
永遠に灯る命達
時間よ止まれ
幾千年も幾万年も
あの中で笑う陽気な春風の
ほんの一部になりたいから
今を忘れて春夢になりたいから