9/26/2023, 12:32:57 PM
【秋🍁】
昨日まではまたそこにいた夏という季節が今はもう遠く立ち去った。大気を満たすのは既に秋の気配ばかり。
透き通るように爽やかな秋の空気。穏やかな空を見上げてのどかな気分に浸っていると足音が聞こえた。微笑んで振り向く。
「僕が早く着いただけだから、謝らないで。会いたかったよ」
9/19/2023, 2:52:49 AM
【夜景】
満天の星空を地上に敷き詰めたのにも似た、まさしく宝石のような夜景。呼吸も忘れ見下ろしていると隣に立つ人がそっと囁きかけてくる。
「綺麗だね。…君にどうしても見せたかったんだ」
優しい声に胸が詰まる。滲む輝きに目が眩む。震えそうな声で囁き返した。
「とても。…ありがとう」
9/17/2023, 8:59:12 AM
【空が泣く】
泣き方を知らない君の代わりに空が泣いている。ぼんやりそう思った時、ぎこちなく目元に触れられた。
「なんで君が泣くの」
「泣いてないよ」
「…そう」
反論すると君はそれ以上言及せずに、ただこちらの前髪を撫でつけた。不慣れだが愛情深いその手つきに胸が軋む。ごめんねと、呟きを聞いた気がした。
9/13/2023, 11:44:37 AM
【夜明け前】
夜明け前が最も暗いなどという尤もらしい言葉は本気にしていなかった。明けない夜もあると、永遠に朝の来ない窓もあると、諦めながら確信していた。けれどそれも既に過去のこと。
長かった夜ももうすぐ明ける、君とならばこの終わりない夜からも抜け出すことができる。今はごく自然にそう信じられる。
9/6/2023, 11:21:54 PM
【時を告げる】
時が移ろい季節が巡ったことを鳥の声が、花の色が告げる。そしてそうした自然からの便りを受け取ることは、君が教えてくれた。
「葉っぱの色が変わりはじめたね」
「そろそろ秋だねえ」
かつての自分は見向きもしなかった、日常に紛れる宝石のような無数の輝き。共有できる相手がいる幸福を噛み締めた。