「あなたは誰」
真っ白な部屋で眠るあなた
安らかな寝息を立てるあなた
私をも眠りに誘うあなた
少しだけ微睡みを
私は駆ける どこまでも
あなたを探して どこまでも
あなたが見つからず いつまでも
私は孤独でした いつまでも
目を覚ましたあなた
不安げに慌てたあなた
私を射るように見たあなた
何故そんなことを言うのですか
これならいっそ助からなければよかったのに
そんな風に思う私は、なんて、醜いのでしょう
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい……
「ココロ」
転がる、転がり落ちて、変わる、変わり果てて
私は何も分からなくなりました。
回る、回り回って、落ちる、落ちかけて
私はぺしゃんこになりました。
堂々たる堂々巡りをしています。
延々と永遠に。
私のそれは定まらない。
「君の背中」
嬉しいな。
こんなに近くに君がいて。あんなに遠かったのにね。
楽しいな。
ようやくそこへ手が届いたんだ。僕のちっぽけな手がね。
愛しいな。
追うだけだった君の背に触れている。直接ではないけれどね。
愛しいなぁ。
君の肉体の感触というものを、この金属を通して感じている。
愛しいなぁ!
これは僕が、僕だけが知り得ていることだもの。一生忘れないよ。ありがとう、素敵な思い出をくれて。
「愛情」
わたしにも惜しみなく与えられたのでしょうね。
けれどもそれは知覚されていない。
であればどこかに消えたのでしょうか?
質量保存の法則なんて言いますが、これも同じなのでしょうか?
わたしが振り撒いたつもりのものだって、認識されずにどこかへ散ってしまった。
散乱したそれがめぐりめぐってどこか知らない場所の知らない人の元へ届くことはあるのでしょうか。
そうなったとしても、わたしはそのことを知り得ないのですけれど。
「友情」
私たち、うまくやれると思ってた。うまくやれてると思ってた。でも違ったんだね。そう思ってたのは私だけだったんだ。
バカみたい。
あの時そう言ったのは、私に向けて。だけどあなたは自分に言われたと勘違いしたんだね。そのことにすぐに気づいたけど、それでいいと思ったから。だから私は何も言わなかったんだよ。
私たちが本当に友だちだったのなら、全て気づいてくれるでしょうね。あなたも今は気づいているのかな。そうじゃないといいな。だってあなたは私を裏切ったんだから。
そんなふうに思っておきたいのに、苦しいよ。