「また明日」
あなたが笑っていた。
わたしも笑っていた。
終わりが来るなんて思ってもいなかった。
ずっとずっと続くものだと思っていた。
だから昨日もいつもと同じ約束をしたのに。
守れなくてごめんね
「後悔」
あなたは過去を振り返った時に悔いていることがありますか? ……ない? そう。それは素敵なことだ、羨ましい。確かにあなたはいつだって高潔で、公正で、正しい判断のみをしてましたからね。
それに比べたらわたくしなぞ、後悔だらけの人生を歩んで参りました。近いものなら昨日の夕飯で見栄を張って好物を選ばなかったこと。遠いものなら学生の時分、手を挙げなかったこと。小さいものなら財布に小銭がないこと。大きいものならあの時あなたを手放してしまったこと。
「ずっと隣で」
あなたの一番近くにいるのは私だと思っていたのに。実際にそうであったはずなのに、今は違う。どうしてだろうと、なぜだろうと、私なりに考えて、考えて、考えて……。
きっとはじめから私たちは背中合わせだったのだと気がつきました。側にはいるけれど、そのまままっすぐ進んだら離れていってしまう。だからこれは、しかたのないことだったのだと。そう、気がつきました。
でも、もしもう一度やり直せるならその時は、——。
「遠くの街へ」
あなたとはもう二度と会うことはないと思っていたのだけれど、存外私の世界はちっぽけなものだったのですね。
ならば次は、もっと遠くにゆこう。あなたというひとに再び出会わない為に、私は遥か彼方にきっとあるまだ名も知らないところを、当もないままに目指しているのです。
「大空」
果てしなく続くそれにもいつか終わりが来るのだろうか。
許されるならばそうであってほしいと思う。
あなたの言う、みんないつかは終わるという言葉が嘘であってほしくないから。
そうは思うのだけれど、頭上の広大な空間がどこまでもいつまでも続いていて、
私の辿り着いた先にあなたがいたらいいのにとも思うのです。
そうして一緒に浮かび上がって、青も赤も紫も灰色も、眩く輝く星々も、
あなたと共に見られたのならきっと素敵だったでしょう。