下屋

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9/9/2025, 11:12:59 AM

「フィルター」

あなたから見た私は
一体どんな姿かしら
私から見たあなたは
何よりも美しいのよ

あなたという輝きを
私の目で屈折させて
そうして投影すれば
誰もがそれを知るの

けれども、けれどね
私は意地が悪いから
誰にも見せたくない
私だけで見ていたい

あなたという存在を
誰も知らないでいて
そんな惨めな願いを
私はずっと抱いてる

9/8/2025, 1:28:28 PM

「仲間になれなくて」

あなた
 と
わたし

視線は交わしていたけれど
いつも互いにひとりきり

9/7/2025, 10:54:07 AM

「雨と君」

傘もなく 立ち尽くす
こうしていると 思い出す

私はひとり 眺めてた
あなたがひとり 軒先で
不安げに 空を見ていた日

どんより重い 鈍色の
空からしっとり 降り注ぐ
休む間もなく 落ちてくる
小さな小さな 雨粒を

しばらく待っても 変わりなく
雨は延々 降り続け
あなたは決心 したらしく
大いなる一歩を 駆け出した
その背はやがて 消えてゆく

あの日のことを 思い出す

9/6/2025, 10:11:17 AM

「誰もいない教室」

光は空間を満たし
私という存在が影を作る
仲間は黙する机たち
それ以外に何もない

私と机の影たちが
まっすぐ長く伸びてゆき
やがてはひとつになるのだろう

動いているのは私だけ
他は息を潜めてる

いつもはもっと賑やかなのに
今はまさしく墓地のよう

ひとつの椅子を引いてみて
まっすぐ前を向いてみる
まっさらな黒板に
明日のことが書いてある

きっと今は私だけ
今日に留まり続けてる

9/5/2025, 10:19:17 AM

「信号」

私の心の信号機
今はチカチカしています
けれどみんなが進むから
私も一緒に進むのです

私の心の信号機
今は赤く灯ってる
空はどんより曇り色
まるでごはんと梅干しね

私の心の信号機
今は青で発光中
なのにどうして何故なのか
私は一歩も進めない

私の心の信号機
静かに光が消えました
世界が終わる闇色に
溶けてみんなと同じ色

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