下屋

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4/9/2025, 1:11:42 PM

「元気かな」

 そっちは暖かいかな?
 ここは随分と春めいてきたよ。きっとそんな風に思っている内に、すぐ暑くなるんだろうね。
 次に長い夏が来て、短い秋になって、葉が落ちるのを見ながら冬に変わっていくんだ。
 そしてどんどん時が経ってふたりはいつか再開できるのかな。できないかもしれないね。それでも、いっか。
 ねぇ、あなたは今何をしているの?
 どんな表情をしているの?
 笑ってくれていたら、いいなぁ。
 わからないけど。わからないけれど。

 この言葉が必ず届くと信じて、あなたの穏やかな日々を祈ります。

4/8/2025, 9:31:58 PM

「遠い約束」

あの日の小指のぬくもりを私は忘れてしまいました
あの日交わしたことばすら私は忘れてしまいました
けれどあの日ふたり誓い合った
その記憶が私を励ましてくれるのです

4/7/2025, 12:23:26 PM

「フラワー」

腕いっぱいの花束を、私からあなたに。

捧げます、捧げましょう。
あなたは喜んでくれるでしょうか。
照れたように笑うでしょうか。

想像します、想像してみます。
何色の花が似合うでしょうか。
包みはどんなのがいいでしょうか。

最後のプレゼントを、私からあなたに。

2/24/2025, 1:39:29 PM

「一輪の花」

 そこにあるでしょう、美しいものが。私が手折ったの。どうしても手元に置いておきたくて。毎日水を変えているわ。その度にふわりと舞う香りに、私はますますあれを気に入っていく。でもね、でも。駄目みたい。もうじきお別れをしなくては。少しずつ元気が失われていくのを、見て見ぬふりをしていたけれど、そうもいかなくなってしまった。悲しいけれど、何事もそういうものよね。残念だわ。そうそう、違う話も聞いてくれる? 今日、綺麗な花を見かけたの。それはうっとりとするほど可憐で、可愛らしかったわ。

2/19/2025, 12:50:24 PM

「あなたは誰」

真っ白な部屋で眠るあなた
安らかな寝息を立てるあなた
私をも眠りに誘うあなた

少しだけ微睡みを

私は駆ける どこまでも
あなたを探して どこまでも
あなたが見つからず いつまでも
私は孤独でした いつまでも

目を覚ましたあなた
不安げに慌てたあなた
私を射るように見たあなた

何故そんなことを言うのですか
これならいっそ助からなければよかったのに
そんな風に思う私は、なんて、醜いのでしょう
ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい……

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