【後悔】(2023/05/15)
いつも私は独りだった。
孤独だった。
「愛情」なんてものを感じられなかった。
私は、私は、
「何故生きているのだろう。」
そう思った瞬間、なんでも良い気がしてきた。
分からない、分からないけど、全て周りに流された。
そうしたら、いつしか何も感じなくなって……
嫌だった勉強だって人間関係だって仕事だって……完璧になった。
でも、全てが、完璧になった私でも、「愛情」を知らない。
でも私は、生きないといけない……何故生きないといけない?
「嗚呼……愛情ってなんだろう。」
夜空に向かって問いをかける。
もちろん返答は、帰ってこなかった。
でもそれで良かったのだ。
私は、その、夜空に飛び込んだ。
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彼女は、あの日から変わった。
原因なんて分からなかった。
彼女に一言伝えたかった。
「好きです。」
と、でも彼女は、僕から離れて行ってしまう。
嗚呼、なんで、僕の目の前から消えてしまうの
僕の胸には、【後悔】が残った。
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大人になった今、仕事帰りに夜空を見上げる。
キレイな満月が空には浮かんでいた。
「今日は月が綺麗ですね……」
目から涙が零れる。
彼女の居る夜空に向かって話しかける。
伝わってないかもしれない。でもそれで良かったのだ。
「やっと伝えられたな。」
今日はあの日から10年経つ。もう僕も25歳だ。
彼女を前にしていえなかった【後悔】が残る。
「なあ、元気か、?」
聞いてるかも分からないが声をかけてみる。
もちろん返答は帰ってこなかった。
僕は、苦笑ながらも缶ビールを、開けた。
正直、お酒は苦手だ。
でも、今日はなぜだか飲みたい気分だった。
「乾杯。」
僕は月に向かって微笑んだ。
空を見上げる少女の瞳に映る世界は、光り輝いていた。
今世紀、最後の夜。
「ありがとう」と「さよなら」の二言だけ君に残して
私は、風に身を預けた。
「また会う時は、HappyENDでありますように。」
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寒気を感じる。
風が心地よく入っていた窓から何かを感じた。
それは、何か不吉な様なもの。
その予感はすぐに当たった。
赤と白の光が僕の目に映る。
「嗚呼、なんで……」
目から何かがこぼれ落ちる。
「最後まで月は綺麗ですね。」