【後悔】(2023/05/15)
いつも私は独りだった。
孤独だった。
「愛情」なんてものを感じられなかった。
私は、私は、
「何故生きているのだろう。」
そう思った瞬間、なんでも良い気がしてきた。
分からない、分からないけど、全て周りに流された。
そうしたら、いつしか何も感じなくなって……
嫌だった勉強だって人間関係だって仕事だって……完璧になった。
でも、全てが、完璧になった私でも、「愛情」を知らない。
でも私は、生きないといけない……何故生きないといけない?
「嗚呼……愛情ってなんだろう。」
夜空に向かって問いをかける。
もちろん返答は、帰ってこなかった。
でもそれで良かったのだ。
私は、その、夜空に飛び込んだ。
✄-------------------‐✄
彼女は、あの日から変わった。
原因なんて分からなかった。
彼女に一言伝えたかった。
「好きです。」
と、でも彼女は、僕から離れて行ってしまう。
嗚呼、なんで、僕の目の前から消えてしまうの
僕の胸には、【後悔】が残った。
✄-------------------‐✄
大人になった今、仕事帰りに夜空を見上げる。
キレイな満月が空には浮かんでいた。
「今日は月が綺麗ですね……」
目から涙が零れる。
彼女の居る夜空に向かって話しかける。
伝わってないかもしれない。でもそれで良かったのだ。
「やっと伝えられたな。」
今日はあの日から10年経つ。もう僕も25歳だ。
彼女を前にしていえなかった【後悔】が残る。
「なあ、元気か、?」
聞いてるかも分からないが声をかけてみる。
もちろん返答は帰ってこなかった。
僕は、苦笑ながらも缶ビールを、開けた。
正直、お酒は苦手だ。
でも、今日はなぜだか飲みたい気分だった。
「乾杯。」
僕は月に向かって微笑んだ。
5/15/2023, 2:47:41 PM