わざと電気を使わず、カーテンを締め切ってキャンドルに火を灯す。
ベットから掛け布団を持ってきてその場で横になる。
すると窓の外から聞こえる落ち着いた雨音と、すぐ側で揺蕩うか弱い火だけが私の世界を創る。
サーサー、ぱちぱち、ぽとんぽとん、じゅっ……
優しい光が私の心を癒して、やがて、小さな眠りに頭を撫でられる。
作品No.004 課題名「キャンドル」 題「私の世界」
奥さんが死んで家を掃除することにした。
孫達に手伝って貰って予想よりも早く片付いた。残るは庭、倉庫だけだ。
倉庫の鍵を手に外に出た。
ふと目線を向けると蜘蛛の巣に犯された奥さんの自転車が倒れていた。きっと昨日の台風のせいだ。隣にある自分の自転車は何とか無事らしい。
倉庫の鍵を開けると孫たちが風のように入っていった。自分も何があるのか覚えていないから除くように全体を見渡した。
そこには砂埃にまみれた赤い自転車と、小さな青い自転車が並んでいた。
まだ小さかった時自分が乗っていた自転車だ。小さいのは小学生の時、赤いのは高校の時使っていた。懐かしい。
「この自転車まだ乗れそう」
孫は誇りを払い空気を入れて乗ってみた。案の定タイヤのゴムとブレーキが壊れていてまともに使えない。
作品No.003 課題「自転車に乗って」題名「時系列」
私の心は矛盾にまみれた。
君の心も矛盾でたくさん。
人に認められたいが、人に評価されるのが嫌だ。
たくさんお金が欲しいが、働くのが嫌だ。
友達と仲良く過ごしたいが、疲れて面倒だ。
こうした矛盾が次第に肥大化していく。
これが君にしかない考え方だ。つまり君にしか扱えない。
君はふと気がついたとき、こう思える。
結局好きにすればいいや。
人に認めて欲しいけど、評価されるのが嫌だから何もしない
たくさんお金が欲しいけど、働きたくないから仕送りもらおう
友達と仲良く過ごすのは面倒だから一人でいよう
君の心は平穏が保たれた。
同時に人生は破滅を迎えた。
人に評価されるのが怖いけど、勇気をだして踏み出す
働きたくないけど、お金の為出社する
疲れるけど彼という友達は唯一無二だ
君の心は絶えず苦労を知る。
同時に人生は喜びを覚えた。
ほら、矛盾だらけ。
すると君はやる気を失っていく。
だから声を大にして言おう。
矛盾がない世界ほどつまらないものは無いと。
さぁ君の矛盾を誇ってご覧。
それは君がこの世界に向き合っている証拠だ。
作品No.002 課題「心の健康」 作品名「矛盾」
ただ私は音楽というものを貪るように、散らかすように消費してきた。電子の激しいブープを、ギターの格好良い取り回しを、ラッパーの類まれな言葉を。
しかしそれではダメだと気がついたんだ。音楽の真の有り様に近づけた。もしかしたら錯覚かもしれない。それでも感じたんだ。
音楽とは表現方法だったんだ。
例えば君がベートーベンの運命を聞いたとして。それをどう楽しむかが鍵なんだ。当時のベートーベンになりきると運命の儚さ、恋情の無情さを楽しめる。自分事にすると過去の失恋やこれから起こりうる未来の恋を想像させてくれる。
音楽とは物語だったんだ。
泉にいる2羽の白鳥だったり、作家自身の重要な経験だったり。
そうさ。君もまた、音楽を奏でてみよう。自分にしかない、自分でしか分からない感性で、音を並べてみよう。君が「この世界は大きすぎる」と感じたならば、巨大さを感じられる壮大な音を奏でるんだ。君が「この世界は残酷だ」と感じたならば、何がそうたらしめるのかを伝える悲劇的な音を奏でるんだ。
私もまた、生活で感じたことを音にしてみよう。
「今日は平凡な1日だった」
私はきっと、日常という音楽を奏でることだろう。
君は、どんな音を奏でてくれる?
作品No.001 課題「君の奏でる音楽」 作品名「感性」