ただ私は音楽というものを貪るように、散らかすように消費してきた。電子の激しいブープを、ギターの格好良い取り回しを、ラッパーの類まれな言葉を。
しかしそれではダメだと気がついたんだ。音楽の真の有り様に近づけた。もしかしたら錯覚かもしれない。それでも感じたんだ。
音楽とは表現方法だったんだ。
例えば君がベートーベンの運命を聞いたとして。それをどう楽しむかが鍵なんだ。当時のベートーベンになりきると運命の儚さ、恋情の無情さを楽しめる。自分事にすると過去の失恋やこれから起こりうる未来の恋を想像させてくれる。
音楽とは物語だったんだ。
泉にいる2羽の白鳥だったり、作家自身の重要な経験だったり。
そうさ。君もまた、音楽を奏でてみよう。自分にしかない、自分でしか分からない感性で、音を並べてみよう。君が「この世界は大きすぎる」と感じたならば、巨大さを感じられる壮大な音を奏でるんだ。君が「この世界は残酷だ」と感じたならば、何がそうたらしめるのかを伝える悲劇的な音を奏でるんだ。
私もまた、生活で感じたことを音にしてみよう。
「今日は平凡な1日だった」
私はきっと、日常という音楽を奏でることだろう。
君は、どんな音を奏でてくれる?
作品No.001 課題「君の奏でる音楽」 作品名「感性」
8/12/2023, 5:27:15 PM