G14(3日に一度更新)

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12/7/2023, 9:47:41 AM

「おはよう。おや我がライバルの葵さん、なにか困ってるようね。どうしたの?」
「あ、親友の友子ちゃん。おはよう」
「親友じゃないから」
「友子ちゃんってば天邪鬼なんだから。
 実はね、書く習慣っていうアプリで、お題に『逆さま』が出たの。でも何も思い浮かばなくて…」

「確かに、素直で箱入りで、何度騙されても人を疑う事を知らない葵さんには難しいかもね」
「今さり気なくディスらなかった?本当に親友じゃないかもしれない」

「親友じゃないのよ。
 だけど大丈夫。私が良いことを教えてあげよう」
「ホントに。助かるよ。やっぱり親友だね」
「違うから。悩み事のせいで、力が発揮できないあなたに勝っても嬉しくないのよ」
(素直じゃないなあ)

「何よその顔。やっぱり教えるのやめようかしら」
「…さすが私のライバル」
「分かればいいのよ」
(チョロいな…)

「それでアイデアというのはね。股のぞきというものよ」
「股のぞき!聞いたことある」
「逆さまになって、股を覗いて景色を見ると、景色の見え方が変わるの。
 葵さんはあの名誉あるイグノーベル賞の話題で聞いたことがあるのかもね」
「なるほど。イグノーベルで聞いたのかもしれない」
「それにイグノーベル賞もノーベル賞の一種の逆さまみたいなものだから、そこを広げると良いと思うわ」

「さすが友子ちゃん。完璧ね。でも一つ穴があるわ」
「穴?穴なんてあるかしら」
「うん。締切の夜七時がもうそこに迫ってるの」
「えっ」

「だから、調べる時間が無くて、このまま書くしか無い」
「このまま?」
「そう、このまま。
 さっきから逆さまを言ってる友子ちゃんのことを書くよ」
「待って、葵さん。私は逆さまではないわ」
「大丈夫。友子ちゃんはそのままでも面白いから」
「心配してるのはそこではないわ」
「友子ちゃん。私たち親友だよね。だから書いていいよね!」
「…本当に親友じゃないかもしれないわ」

12/6/2023, 9:36:00 AM

 その夜は全く寝付けなかった。
 もうすぐ初めての子供が生まれるのだ。
 眠れないほど緊張していた。

 このままいても仕方がないので、少し気分を変えるため、ベットからから抜け出す。
 誰かいるわけでもないが、なんとなく静かに歩いて寝室を出る。

 寝室から出て廊下を歩き台所へ行く。
 真夜中なので、物音は自分の足音だけ。
 草木も眠るとはよく言ったものだ。

 お茶を出そうと、冷蔵庫を開ける。
 思いの外、喉が渇いていたらしく、水がとても美味しい。

 ふと台所の窓から外を見る。
 何も映し出さない、真っ暗な闇。
 このあたりは田舎なので、こんな夜中には車は通ることはない。
 音もせず光もない。
 まるで世界に自分だけのようだ。

 カタと音がしたので後ろを振り向くと、飼い猫のミケがいた。
 物音で起こしたかとも思ったが、よく考えれば夜は彼女のテリトリーである。
 おそらく夜のパトロールであろう。
 御苦労なことだ。

 しかし、私を見るやいなや走ってきて遊びを催促するのだが、ミケはじっと見ているだけだった。
 よく見ると、なんだか眠そうに見える。
 昼間寝てないのだろうか?

「眠いのか?」
 そう聞いても、ミケはこちらを見るだけで何も答えない。
 するとミケは私に背を向けて歩き出す。
 数歩歩いて、こちらを見る。
 ついてこいって事だろう。

 ミケの後ろをついて行くが、家の中を歩くばかりで一向に目的地に着かない。
 それにいつもは走っていくのに、歩いているだけだ。

 しばらく歩いて寝室のドアの前に座る。
 開けろってことらしい
 ドアを開けると、スルリと部屋の中に入っていき、妻の寝る場所で横になっていた。

 そこで気づいた。
 ミケは、子供が生まれることを知っているのだ。
 だから子供のように走らず、落ち着きのある大人のように歩いていたのだ。

 私はミケを優しく撫でる
「そっか。お前お姉ちゃんになるもんな。大人っぽかったぞ」
 どうやら緊張しているのは、私だけではないようだ。

「たくさん可愛がろうな」
 そう言うと、ミケは眠そうな顔でニャアと鳴いたのだった

12/5/2023, 9:08:38 AM

 今回のお題は夢と現実である
 どんなものを書こうか
 現実の自分と夢の自分が出会って云々を書いたら面白いのでは?
 よし、この路線で行こう


 と思っていたのだが、あることに気づいた
 これドラクエ6じゃん
 ネタバレになるから深くは言わないけど、夢と現実の世界を行き来するゲームである
(気になる人は、漫画かアプリを買うかwikiへ)

 好きなゲームで、発売当時かなりやりこんだ


 一旦気づくと、もうこれしか出てこない

 これから不貞寝して夢の世界に行きます
 お疲れ様でした

12/4/2023, 9:50:11 AM

「さよならは 言わないで」
 お見舞いに行った時、君はそう言った。
 本当に会えなくなそうだからって、君は泣いていた。

「さよならは 言わないで」
 元気になってから学校から帰る時、君はそう言ったね。
 また病気をしそうで怖いからって、君は泣いていた。

「さよならは 言わないで」
 高校の卒業式の時、君はそう言った。
 離れたくないからって、君は泣いていた。

「さよならは 言わないで」
 デートのとき、君はそう言った。
 一人は寂しいからって、君は泣いていた。

「さよならは 言わないで」
 プロポーズのとき、僕は君にそう言った。
 もう離さないからって、君は泣きながら笑っていた。

12/3/2023, 9:26:53 AM

 オレの心は光と闇の間で揺れていた。
 今、オレの目の前には、財布が落ちている。

 もちろん拾って交番に届けるべきなんだろう。
 その一方で、この中に入っている金をネコババすれば、生活は楽になる。

 自分の中の天使が言う。
―困っている人を助けるべきだ、と。

 自分の中の悪魔が言う。
―大丈夫、バレはしない、と。

 悪魔はささやく。
―これでいいものを食おうぜ、と。

 悪魔はさらに追撃をかける。
―欲しいゲームあるだろ、と。

 悪魔はこれでもかと誘惑する。
―よし、じゃあ買い物行こうぜ、と。

 さっきから悪魔の押しが強い。
 天使も助けるべきだ、としか言わない。
 もっと無いのかとも思うが、オレも何も思いつかない。

 自分の心は汚れているのだろうか?
 違う。
 たとえ心は汚れていても問題ではない。
 どう生きるか、どう行動するかが問題なのだ
 確か、婆ちゃんもそう言ってた。

 そうと決まれば話は早い
 オレは財布を握りしめ、近くの交番に向かう。

 意外にも悪魔は反対しなかった。
 そして悪魔はつぶやく。
―まあ、落とし主が美人かもしれないからね、と。
 期待してないといえば嘘になるが、そんな都合のいいことはない。


 交番に行って遺失物の届け出を書いていると、なんと婆ちゃんがやってきた。。
「あら、その財布。おばあちゃんのものね。拾ってくてありがとう」
 そう言って婆ちゃんは、いくつかの確認の後、財布をお巡りさんから受け取る。


 一緒に家に帰ったあと、婆ちゃんは財布からお金を取り出して、オレにくれた。
「拾ってくれて、ありがとうね。はい、お小遣いあげるわ」

 オレは、渡されたそのお小遣いを、どんな感情で受け取るべきなのか?
 オレの心は光と闇の間で揺れていた。

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