G14(3日に一度更新)

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11/7/2023, 9:50:42 AM

 雨の中を歩いていた。
 折りたたみ傘を持っていたが、使う気はなかった。
 あまり雨が強くないというのもあるが、そんな気分ではないのが大きい。

 大好きな恋人と喧嘩して別れた。
 原因は向こうの浮気。
 裏切られたという事実は私を打ちのめした。

 雨が降ってきても、傘を出す気力が湧かなかった。
 土砂降りであれば、いっそ清々しくなるのだろうが、ずっと弱い雨だった。
 濡れるか濡れないかというような、柔らかい雨。
 もしかしたら雨が慰めてくれてるのかもしれない。
 
 おせっかいと感じるが、きっと気の所為なのだろう。
 だけどそんな考えに至ってしまった自分に、ちょっとだけおかしくて笑ってしまった。

 気がつくと雨は止んでいた。
 雲の切れ間から陽の光が差し込み、大きな虹が架かっていた。
 あまりのおせっかぶりに、おかしくなってしまう。
 そして晴れていく空のように、私の気持ちも晴れ渡っていく。

 新しい恋を頑張ろう。
 そう思うのだった。

11/6/2023, 9:29:07 AM



 夜、街を歩いていると空の方に一筋の光のようなものが見えた。
 なにかと思い、空を見上げてみると光の筋がまた見える
 流れ星だった

 それを見て、願い事をしようとして、やめた。
 願い事をとっさに思いつかないのもあるが、そんな年でもない。
 そう思っていると、また流れ星が光る。
 なんだか流れる星が、願い事を催促してるような錯覚を覚える
 また流れ星。
 段々願い事をしないことが悪いことのような気がしてきた。
 そこまで言うならと、願い事を考えると、叶えて欲しい願い事がたくさん思い付く。
 色々考えてふとイタズラを思いつく。
 ワクワクしながら、流れ星を待つ。

 そして流れ星を発見し、すかさず願い事をする
「流れ星を沢山ください」
 そして星空を眺めるが、何も起こらなかった。
 まあそうだよな。
 そう思って歩き出そうとすると、空のほうが明るくなる。
 慌てて空を見ると、その景色に驚く。
「まさか本当に願いが叶うとは」
 惜しいことをしたと想いながら、星空を埋め尽くした流れ星をずっと眺めていた。
 

11/5/2023, 8:30:57 AM

「やった完成だ」
「博士、何ができたのですか」
「助手か。見てくれ。これが哀愁をそそるサソリだ」
「哀愁をそそるサソリですって!?」
「色々な角度で見るといい」
「本当だ。どの角度からも哀愁をそそられます」
「フハハハ。どうだ天才だろう」
「天才です。博士は世界一天才です」
「そうだろうそうだろう。フハハハ。はあ、虚しい」

 博士は近くにあった椅子に座る
「こんなもの作って何になるというのか」
 男はがっくりと肩を落とす。
「いえどこかに需要ありますって。多分」
 助手は博士を励ますが、言い切ることはできなかった。
「諦めてはいけません。足掻きましょう」
「助手よ。若いな」
「いけません、博士。諦めたらそこで試合終了です」
「無理だよ」
「大丈夫です。私がついてますから、さあ行きましょう」

 そして部屋にはサソリ以外誰もいなくなった。
 サソリは静かになった部屋で、自分の存在意義を考えてようとして、やめた。
 何度か考えたが、意味がないとしか思えなかったからだ。
 
 サソリは世界が赤く染まっていることに気がついた。
 ケースの周囲を見渡して、夕日を見つける。
 そしてサソリはずっと夕日を眺めていた。
 夕日が沈むまで、ずっと。




ps
 哀愁をそそるってどういう意味なんですかね。
 だれか教えて欲しい

11/4/2023, 7:43:55 AM

「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰?」
「それは白雪姫です」
 鏡は答える。

 私はもう一度同じ質問をする。
「もう一度聞くわ。鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」
「それは、もちろん貴方様、白雪姫であります」
 私はその答えを聞き、私は笑うのを堪えられなかった。
 そう私が世界で一番美しいのだ。

 この鏡は正直だ。必ず世界一美しい女性が映る。
 稀に私以外に映ることがあるが、すぐに間違いを正すことにしている
 するとまた私が映るのだ。
 こんなに気分のいいことはない。

 かなりお金をかけることになったが、問題ない。
 私が世界で一番美しいことが重要なのだ。

 鏡を見る。
 やはり私は美しい。
 鏡の中の自分は、血と錯覚するほど真っ赤なドレスを身にまとい、邪悪な笑みを浮かべていた。

11/3/2023, 8:32:32 AM

昼食を食べた後の、昼1時からの授業。
私は猛烈な睡魔に襲われていた。
ぽかぽか暖かい気温、古文の朗読という心地良いBGM。
午前中の体育も効いている。
眠りたいという誘惑に負けそうになる。
授業も頭に入らない
そうだ。眠いのなら、いっそ寝てしまえばいい。

しかし寝る前の準備がいる
準備が全てを決めるって誰かが言ってた。
最初に気づかれないように机の上を片付ける。
物があると邪魔な上、落として音を立てる可能性があるからだ
そのまま寝ると丸見えなので、教科書を立てて、目隠しにする。
そして満を持してマイまくらも取り出す。
完璧な寝床だ
では夢の世界へ出発

パアアンという音と供に、頭に衝撃が走る。
「こら寝るな、授業中だぞ」

顔をあげると古文の教師の顔があった。
よくも私の眠りを妨げたな
永遠の眠りにつかせてやろうか

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