真空

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9/26/2025, 11:10:10 AM

コーヒーが冷めないうちに

目玉焼きは半熟
ウインナーは3本
レタス少しとミニトマトを1個
コーンスープは粉末をゆっくり混ぜる
食パンは5枚切を7分焼いて
ブルーベリージャムとマーガリンは机の上に

目覚ましのアラームはさっき止まったが
2階から物音はしない
もうすぐ次のアラームが鳴る頃だろう

さて今日はコーヒーが冷めないうちに
目を覚ましてくれるだろうか
昨日はすっかり冷めてしまった
一昨日はぬるいと文句を言ってたっけ
早く起きたときは窓際の席でぼんやりと
コーヒーを待っていてくれるが
最近はお目にかかれていない
今日も見れなさそうだ
ではそろそろコーヒーの準備に取り掛かろう
待ってやる義理はない
彼のコーヒーは私のおまけなのだから


【おすそわけ】



9/25/2025, 2:58:05 PM

パラレルワールド

貴方ときたら上から目線で偉そうで
頭が良いからって色んなこと抱え込んで
物事を難しく考えすぎなんだよ
…優しいから抱え込んじゃうんだろうけど

この世界の俺たちは殺し合って終わったけれど
別の世界でなら普通の友達になれただろうか
俺のほうが年上だったりして
同級生でも楽しそうだ
一緒に学校に行ったりさ、遊びに行ったり
ゲーセンなんて貴方行ったことないでしょ?

もしもあの時、貴方を1人にしなければ
今でも一緒に飲みに行くくらいはできたのかなあ
あの人が死ななければあるいは

でも、この終わりに後悔はしていないよ
貴方もだろ?やりたいようにやった
結局俺たち似たもの同士だったんだろうな
だからこそわかりたくてわかってほしくて
譲れなくてこうなった

貴方に出会わなければとも思った
もっと沢山の別の未来を選べたのに
選べばよかった?馬鹿言えよ
貴方がいたら貴方しか選べないよ

だからほら行こう
貴方にだって俺しかいないんだから
きっといつだろうがどこにいようが
そういうもんなんだよ俺たち
…次は、一緒に星でも見に行けるといいなあ


【いつでもどこでもずっと】

9/24/2025, 3:00:45 PM

時計の針が重なって

空は真っ暗
星のきらめきは地上の明かりにかき消され
月はのんきにうかんでいる
1秒前とは何も変わらないけれど
今日は昨日になり明日は今日になった
否が応でも刻は進んでいく
あーあ仕事行きたくないなぁ


【24時あるいは0時】

9/23/2025, 3:06:26 PM

僕と一緒に

「僕と一緒にいこう」
「無理だよ」

私は貴方の優しさを踏みにじることしかできない
一緒にいたってわかりあえない
どっちも頑固で譲らない
永遠の平行線
それが貴方と私だ

「お前は、僕を独りにするのか」
「貴方ならどこでだって受け入れられるでしょ」

誰とでも仲良くできるし誰とでも笑いあえる
私とは違って人の中で生きていける
いや、人の中でしか生きていけない
さみしがりやだもん

「私は独りで生きていける」

偽りなき本音だ
必要なものは全部自分で作れる
人なんぞと関わりたくもない

「だからここでお別れ」

さようなら世界でただ一人の同類
君のさみしさが埋まる日を願っている

「          」

彼の最後の言葉は風にかき消され私には届かなかった


【君さえいればそれでよかったのに】

9/21/2025, 1:03:34 PM

虹の架け橋

雨上がりに空に架かるアーチ
あれを虹と呼ぶのだとこの地にきて教えてもらった
本で読んだことはあったが
写真を見たことすらなかったましてや実物なんて
「あれ何色に見える?」
隣の男が空を見上げたまま私に問う
顔を上げて色を数える
「5色だときいていだが…4色しかわからないな」
「へぇ、俺は7色って聞いたな、でも頑張っても6色しか見えないや」
「そうなのか」
彼と私では見えるものが違うらしい
産まれのルーツも育った場所も違うのだから
そういうものなのだろう
でも少しさみしい
彼と同じものをることができないなんて
「おい」
頬を掴まれ顔を彼の方に向けられる
「言いたいことがあるんならそんな顔してないで言え」
「え」
「言わなきゃわかんないだろ」
俺と貴方は特に
「…言ってもわからないかもしれない」
「なら、わかるまで話し続けろ」
あ、手を出すのは無しの方向でなんていうから思わず笑ってしまった

【君との架け橋】

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