ひとりきり
後は任せた
貴方に託す
先に行ってろあとから追いつく
よく言われる言葉
世界の危機だとか強大な敵と戦うときだとか
いつの間にやら仲間を置いて進むことになり
最後はひとりきりで立ち向かうことが多い
自分は強いと自負している
誰にも負けない自信もある
でも
それでも
最後まで共にいてほしいというのは
隣で一緒に戦ってほしいというのは
これほどまでに叶わぬ願いなのだろうか
ひとりでだって戦えるけれども
誰かに支えてもらいたいというのは
自分には過ぎたる願いなのだろうか
一人敵の屍の前にひとり佇む
今日もやっぱりひとりきりで勝てた
当然だ当然のことなのに
少しさみしいのは何故だろう
【あたり前の光景】
フィルター
戦いというフィルターにより背負っていたものが取り除かれていく
建前とか社会性とか期待とか幻想とか偶像とか
周囲から託されていたものが濾過されて
一番最後に残った偽りなき自分の気持ち
お前との決着を
英雄とか救世主とか反逆者とか
そんな肩書全部取っ払って
今ここにあるのは
ただお前に勝ちたいという自分の意思だけ
大義名分も何もない
勝ったところで何もない
ただ自分が納得したいだけの戦い
そこに他の意味などいらないのだと2人きりの今ならいえる
さあ共に燃え尽きるその時まで
命の限り踊り続けよう
【運命に決着を】
仲間になれなくて
助けてとそう言えたらよかったんだろう
でもそんなこと言う勇気がなかった
誰も彼もが自分に幻をみているその中で
情けない姿なぞ見せたくはなかった
プライドの問題だ見栄っ張りの自覚はある
だからこうなってしまったのだろう
引き返す余地はあった
帰る場所もあったはずだった
でも選べなかった
確かに同じ方向を向いていたはずの道は断絶し
結局は彼らの前に立ち塞がることを選んだ
後悔はしていない
自分で選んだのだこの道を
終わらせようさあ今幕を上げる
彼らが勝つか私が勝つかもうそれしかないのだ
【わかれみち】
雨と君
雨の日は家の中にいることにしている
庭から一番遠い部屋で音楽を聴きながら
読書やら掃除やらに没頭する
だってそうしなければ聞こえてしまう
雨の中で泣いている君の声が
ひとりでこっそり泣くことすらできない人
涙を雨と誤魔化せでもしないと泣けないなんて
ホントに意地っ張りでプライドが高いのだから
別に隠さなくてもいいのに
今更泣いたって喚いたって離れていかないのに
せめて隣で泣いてくれたら
手くらい握りしめてやれるのに
嗚呼いつまで雨の中、君をひとりにしてなきゃいけないんだ
【押し殺した声】
言い出せなかった「」
もう少しわかりやすく言ってくれ
そしたらそしたらさぁ
俺だってもう少し言葉を選んださ
同じ方向を向いて一緒に歩いていけると
信じていたのに
いや、まあ
あの頃の俺じゃ支えにもなれなかったけども
貴方なら一人でも大丈夫に見えてたし
今ならわかるさ
あれはあの頃の貴方の精一杯のSOSだって
でもやっぱりわかりにくいんだよ貴方
そうやって心を隠すから自分でも見失うんだ
誰も彼もが貴方に期待と希望を押し付けて
貴方なら大丈夫と突き放して
貴方を一人にしてしまった
放り出せばよかったんだ
理想も夢も期待も
プライドが高すぎるんだよ貴方
そうやって取り繕うばっかりで
自分の首を絞めて声が出せなくなって
言えばよかったんだよ
というか言えよ
今なら俺に届くから
助けても寂しいも傍にいても
愛してほしいも抱きしめてほしいも
ちゃんと聞くから
ほら
【わたしのねがい】