ここにある
貴方ってば本当に
やることなすこと滅茶苦茶で
派手でとんでもないことばかり
おまけに自分の気持ちすらわからないまま
衝動的に行動するもんだから
やった後で後悔したり凹んだり
好きなものも嫌いなものも
やりたいこともやりたくないことも
自分のことなのに何もわかってないの
どうかと思うんだよ
他人の願いばかり抱え込んで
他人の求めることばかり叶えて
手に入らないものばかり追いかけて
そんなことしてるから自分の心すら見失うんだ
貴方の心は俺のところにあるから
諦めてずっと俺の傍にいたらいいよ
いい加減観念して認めたらいいのに
俺のことが好きだって
【年貢の納め時】
素足のままで
走る
走る
走る
後ろを振り返る余裕もない
ただ夜の道を駆け抜ける
服はボロボロで動きにくい
それでも立ち止まるわけにはいかない
一夜限りの魔法使いの慈悲
見たこともない物で溢れ
美しく着飾った人々がひしめく
泡沫の夢
夢は覚めるもの
だけどもこの姿をあの人には見られたくない
だからひたすら走り続ける
靴は片方脱げてしまった
素足で石や枝を踏んだ
切れてしまったのか足の裏が痛い
それでも止まるわけにはいかない
どうか
どうか
私を見つけないで
貴方には綺麗な私だけを覚えていて欲しいの
【灰かぶり姫の祈り】
君と飛び立つ
結局一度も共に宇宙を飛んだことはなかったな
今更ながら星が広がる空を見上げて思う
彼とは宇宙を飛び回るときはいつだって敵だった
背中を預けて戦えたらそれはどんなに満たされただろうなんて今更なことを考える
そう今更だ
遠い遠い過去のような違う世界のような
そんなおとぎ話
それでも少しだけ夢をみるもしも彼が自分の手を取ってくれたならそうしたら
意識が“前”に引っ張られそうになったそのとき
ヴーヴー
胸のポケットに入れていた携帯が震えた
仕事で何かあっただろうか
取り出して名前をみる
彼だ
なんだか笑ってしまう
滅多に連絡なんてしてくれないくせに自分が“前”に引きずられそうになるとこうやって声をくれるのだ
うんそうだな
共に宇宙は飛べなかったが今はこの地で共に歩んで笑いあえるのだ
それは十分すぎるほど幸せだと今は知っている
ふわふわした心地で電話に出る
「もしもし」
「…なんでそんな嬉しそうなんだ貴方」
君と話せるからだなんて言ったら電話を切られてしまうだろうかなんて思いながら会話を返す
君と共に飛び立つことはできなくても共に星を眺めることはできるその幸福を噛み締めて
【今という幸福】
秋恋
暑い暑すぎる
外に出るとかどんな拷問だ
今何月だと思っているんだ地球は
夏延長キャンペーンか?フザケンナ
誰が喜ぶっていうんだそんなキャンペーン
どうせ夏休みを延長しろ
社会人には関係ないがな!!
嗚呼、秋よこい
君が恋しい
【未だ遠い】
終わりにしよう
お前がいなければ
俺はこんなに強くなる必要はなかった
大軍を率いることも
軍備の調達に勤しむこともなかったのだ
あと女関係に悩むこともなかった
全てはお前を殺すために
俺はここまでたどり着いた
俺が死ぬかお前が死ぬか
どちらも死ぬか
さあ終わりにしよう我が妹よ
永きに渡るに世界を巻き込んだ兄妹喧嘩に決着を
【最終決戦】