素足のままで
走る
走る
走る
後ろを振り返る余裕もない
ただ夜の道を駆け抜ける
服はボロボロで動きにくい
それでも立ち止まるわけにはいかない
一夜限りの魔法使いの慈悲
見たこともない物で溢れ
美しく着飾った人々がひしめく
泡沫の夢
夢は覚めるもの
だけどもこの姿をあの人には見られたくない
だからひたすら走り続ける
靴は片方脱げてしまった
素足で石や枝を踏んだ
切れてしまったのか足の裏が痛い
それでも止まるわけにはいかない
どうか
どうか
私を見つけないで
貴方には綺麗な私だけを覚えていて欲しいの
【灰かぶり姫の祈り】
8/26/2025, 2:29:27 PM