バレンタイン
戦争である。
きたる2月14日そうバレンタイン。
その日にむけて選り取りみどりのチョコレートが世界中から集まってくる。
即ち戦争である。
バレンタイン当日なんて悠長なことは言ってられない。
発売されて直ぐに売り切れるチョコレートなんてざらにある。
2月にはもう手に入らないものもある。
故に戦わねばならぬ。
欲しいもののためには努力を惜しんではいけない。
味も見た目も欲しいと思ったなら躊躇ってはいけない。
買った後悔よりも買わなかった後悔が大きいことは身にしみてわかっているのだから。
さあ、情報ヨシ!財布ヨシ!
いざ出陣じゃ!!
え?誰のため?
もちろん自分のためだが?
【自分チョコ】
誰もがみんな
この世界には魔法が溢れている。
誰もがみんな大なり小なり魔力をもっている。
魔力は血と一緒だ。
足りなくなれば死に至る。
それくらい大切なもの。
だけど俺には魔力がない。
魔法が使えない人間でも魔力はもっている。
でも俺はこれっぽっちも魔力がない。
魔力がなくても生きていける。
いや?生きていないから魔力を必要としないのか?
まあ、いいや。
わかっていることはただひとつ。
俺は皆とは違っていてだからまあ、
生きていくことを許してもらえないということだ。
血塗れになり雨のなか地面に倒れこむ。
誰も助けてはくれない。
だって俺は皆とは違うので。
【特別】
花束
国を救った英雄が花束を買ったらしい。
5本の薔薇の花束。
誰に渡すのだろうか。
家族?恋人?告白でもするのか?
国中が皆ヒソヒソと噂するなか当の英雄本人はふらりと姿を消したまま。
そうして再び見かけたときに花束の行方を尋ねてものらりくらりと答えは返ってこなかった。
いったい英雄から花束を送られたのは誰であったのか。
真相は本人の胸の中。
それと見晴らしのいい崖の上にある慰霊碑しか知らないこと。
【君に捧げる】
スマイル
「スマイル下さい。」
「品切れです。」
そう言って君はそっぽをむく。
彼の相棒はもちろん自分のところのでっかい弟子や自分の相棒そして彼を殺そうとした女にすら笑いかけるのに自分にだけは笑顔を見せてくれない。
「金なら払う!」
「馬鹿だろ。」
冷たい氷のように冷たい。
昔は可愛らしく笑って…ないな?
というか待ってくれもしかして自分は彼の笑顔を正面から見たことないのでは?
嘘だろ?かれこれ何十年の付き合いだと?
でも、全くもって思い出せない。
「スマイル下さい!!」
「うるさい。」
「アイツらばっかり狡い!」
「なにがだよ。」
こちらに顔すらみせてくれなくなった。
くそ、こうなったらなにがなんでも笑わせてやる!
「首洗って待っとけ!!」
そう言いのこして僕は部屋から飛びだした。
「貴方に俺の笑顔なんて必要ないでしょ。」
何したって傍にいるくせにそう笑った彼の姿を知ることはない。
【笑顔の必要性】
どこにも書けないこと
貴方が好きです。
あの人のために何時間も並んで限定のスイーツを買いに行ったとことか。
あの人に勉強を教えるために苦手な数学を必死に勉強するとことか。
そんなあの人に振り向いてもらおうと一生懸命な貴方が好きです。
絶対に伝えないけれど
【ラブレターすら書けやしない】