真空

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スマイル

「スマイル下さい。」
「品切れです。」

そう言って君はそっぽをむく。
彼の相棒はもちろん自分のところのでっかい弟子や自分の相棒そして彼を殺そうとした女にすら笑いかけるのに自分にだけは笑顔を見せてくれない。

「金なら払う!」
「馬鹿だろ。」

冷たい氷のように冷たい。
昔は可愛らしく笑って…ないな?
というか待ってくれもしかして自分は彼の笑顔を正面から見たことないのでは?

嘘だろ?かれこれ何十年の付き合いだと?
でも、全くもって思い出せない。

「スマイル下さい!!」
「うるさい。」
「アイツらばっかり狡い!」
「なにがだよ。」

こちらに顔すらみせてくれなくなった。
くそ、こうなったらなにがなんでも笑わせてやる!

「首洗って待っとけ!!」

そう言いのこして僕は部屋から飛びだした。

「貴方に俺の笑顔なんて必要ないでしょ。」

何したって傍にいるくせにそう笑った彼の姿を知ることはない。

【笑顔の必要性】

2/8/2023, 10:10:46 AM