「天国」のイメージとは、淡く優しい白い光に包まれて美しいお花畑がどこまでも広がっている心安らぐ場所…
「地獄」のイメージとは、赤黒いグツグツと煮えたぎる大きな釜のまわりに、悪魔のような番人が沢山構えていて、次はお前だとその釜に突き落とされそうな恐ろしい場所…
と、これは私の勝手な想像だが、つまり実際に天国や地獄という場所が存在するわけではなく、私はそれらがそれぞれの人の心の中に存在するものなのではないかと思う
言い換えれば、心の有りかのひとつということ
心には、悲しみや怒りや喜びなどの有りかがあるように、「天国」や「地獄」を感じる心のありかもあり、これは誰にでも存在するものではないかと思う
人が生きていく為に造り上げた心の拠り所(天国)、抑止力(地獄)であるのかも知れない
でも本当の意味での「天国」を感じるのは、恐らく命が終りを迎える、天に召されるまさにその瞬間であるために、実際に経験したとしてもそれを語り継ぐチャンスは訪れない
そしてまた「地獄も」然り
要するに、人生の最後の扉を開けた先にある心の部屋が「天国」である、あって欲しいと思う
そしてまた、どんなに悪行を重ねた人であっても「地獄」の部屋を抜けた先に「天国」の部屋の扉を開けるチャンスが残されていると信じたい
願わくは、「地獄」の部屋の扉を開けずに済む人生を送りたいと思う
『天国と地獄』
A 「月に願いを? 星に、じゃなくて?」
B 「他のほとんどの星と違って、月って太陽に照らされてその反射で光って見えてるわけでしょ? いわば、他力本願よね
お願いをするって感じではないかなぁ」
A 「そうなのよね 」
B 「だから私は、お願いというより感謝かな
お月様の光って、優しくて心の中にスッと入って来てくれる感じがするじゃない?」
A 「そうそう、浄化される…っていうかね」
B 「まさに、それ! だから、いつも優しい光で私たちを癒してくれて、ありがとうございますという感謝を伝えたいかな」
『月に願いを』
「ちょっと、マジで?! もう勘弁してよー!」
突然の豪雨に、持っていたショッピングバッグで頭を覆いながら近くのデパートに逃げ込んだ
買ったばかりのワンピースから滴る雨を恨めしく思いながら、ふて腐れた顔のまま顔や頭をタオルでぬぐっていると
「凄い雨になりましたねぇ…」
とこんな時に不釣り合いな優しい声が頭の上から聞こえた
慌てて顔をあげると、これまでに現実には見たこともないような、まるで韓国ドラマから抜け出して来たような美しい顔の背の高い青年が微笑んでいた
『息を飲む』という本当の意味での体験をその時初めて味わった
こんなに現実離れした美青年と、こんなに最悪なシチュエーションで出会うという運命のいたずらに、最高過ぎて言葉が出ない衝撃と恥ずかし過ぎて逃げ出したい思いのギャップに息をすることも忘れてしまっていたのだ
コクリと頷くことが精一杯の私に、その青年はまたも優しい言葉をかけてきた
「早く上がると良いですね」
次第にそのデパートのエントランスは人で溢れかえった
その人の波に押されて私の濡れたワンピースが張り付いた腕が、その青年の良く日焼けして程よく筋肉のついた、これまたしなやかそうな美しい腕にくっついたり離れたりした
恥ずかしさと嬉しさの入り交じった気持ちに心臓の鼓動は信じられない早さで反応していた
このドクドクという音がその青年に聞こえはしないかと気が気ではなかった
私の人生はこれまで「雨続き」という形容がピッタリの、何をしてもパッとしないジメジメしたものだった
それでも「降りやまない雨はないのだから」と自分を鼓舞して何とか今まで頑張ってきた
初詣の絵馬にも「私の人生の雨が止みますように」と何度書いたか分からない
それなのに、今日は反対に「お願い、雨よ止まないで」と懇願しているのだ
空が明るくなりかけている
止まないでと懇願したこの雨はじきに止みそうだ
「こんなタイミングで絵馬のご利益があるなんてね
人生て本当に皮肉なものね…」
と思わず苦笑いしてしまった
『降りやまない雨』
「今のまま、自分を信じて歩みを進めて大丈夫よ」
0か100かしかなくて、120%の力を出さないとやった気がしない貴女
周りと歩調を合わせることより、自分の持てる力を出し尽くすことを優先してしまう貴女
見た目も内面も人が羨ましがるほどの才能に恵まれていながら、それに気付きもしないで自分は無力だと嘆き続ける貴女
ひたすら目指す頂点は高く、そこに近づくための努力は惜しまない貴女
次第に疲弊しきってボロキレのようになって、心を閉ざしてしまった貴女
積み重ねた努力はすべてが報われる訳ではないし、辛い経験も沢山する
貴女が人知れず頑張ってきた事実は誰も気が付かないかもしれない…
何年も心を閉ざし、生きる意味さえ見失うかもしれない…
でも、大丈夫
貴女が人生の岐路に立ったそのどの時にも、必ず
「今までの出来事はこの時のためだったんだ!」
と気付く瞬間があるから
何ひとつ無駄になっていないことに気付くから
20年後の貴女の毎日は案外悪くない
貴女のその後を20年歩いてきた私(貴女自身)が保証する
だから、大丈夫
自信を持って歩みなさい
『あの頃の自分へ』
思春期に拒食症で苦しんでいたことがある
かなりの大人になった今でさえ、その苦しみの記憶が私の心から解き放たれることは無い
誰からも羨ましがられる体型を維持しているのにもかかわらずだ
もう何十年も、私の生きる基準は頑なに『体型維持』というかなり偏ったものになってきた
食べるという行為には常に恐怖と罪悪感が付きまとう
食べ物を選ぶ時も、食べたいものではなく、カロリーや成分をまず確認してしまう
こんな自分が悲しく、哀れで仕方ない
一度で良いから、食べたい物を食べたいだけ食べてみたい
私に取り憑いた「逃れられない思い」から、
解放されてみたい…
『逃れられない』