喜びの歌
さざなみの絵筆にのって空をゆく
明るい夕焼けの光に
おとぎ話の少女のほっぺたを見る
夜の闇は地平の裏に待っているけど
にぎった手のひらが
温もりを僕の心臓に送るから平気
心細い道ゆきだけど
浮かぶあなたの笑顔がはげます
歩くのに不自由はない
心がまだ熱をもっているうちは
ぬかるんで 重くなる
世界が次の太陽を知るころには
生まれ変わった人の痛みが
また誰かを救う
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【12】手を繋いで
傷ついて、飛べない鳥が
ひたすらに、時を待つ
こんなにポッカリと空いた穴に
昨日の大切を投げ入れて
誰かのようになりたがったり
ただの普通を欲しがったり
手に入らないものを憎んだり
ただの自分を呪ったり
むなしさの数を数え上げれば
自分の虚ろに根拠が出ると思ってる
持て余すささやかな願い事に
いっそ見放されれば楽になれるのに
昔背負った火傷の痛みは、いつまでも消えない
お前のせいだよと囁かれるから
毎日、ただ時を待ってる
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【11】部屋の片隅で
誰かが上空から殻のない中身だけを落とした。
落ちたものは、手近にあった外枠をヤドカリのように着込むと、平然と電車に乗って会社へ行ってしまう。
私はベットでテレビのワイドショーを見て過ごす。
カップラーメンの残したスープにタバコの灰が浮いているのを見て過ごす。
外枠さんは中身さんのことを知らない。
中身さんも外枠さんのことをしらない。
もしあのとき投げ落とされたのが、あの中身さんじゃなくてこの中身さんだったのであれば、SheはただのHeだったのだ。
私は遅刻する前に会社へ行かなくてはいけない。
テレビとタバコを見て日を過ごすあの人を置いて。
いってきます。
いってらっしゃい。
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【10】逆さま
あなたの子供が泣いていて
私の子供は立ち去りがたく
ふたり何だかぬれていて
いつ雨はやむだろうか
彼は混乱した教祖だから
あんなに人々は心酔して
惑って心を狂わせて泣く
あやかりたくて多くが後を追うけど
触れると終了だ そんなことは分かっている
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【9】眠れないほど
「夢」は私の種(可能性)で、「現実」はただの現状よね。
夢は種でありつつ、目指す光でありつつ、燃料でありつつ、カンフルでありつつ、麻薬であるので、持ってない人は持ってる人よりも、多分生きてて息切れる。かも。
「夢と現実」って並置されたら
その対比を皮肉的に言われてるように感じるけど
もともと何の変哲もないおもちゃの宝石みたいな、ただひたすらキラキラはしてるけど無力な夢想に、魔法をかけてカンフル的・麻薬的なパワーを与えるのはその持ち主なわけで。
夢が大事なのはその通りだけど、時として持ってるだけの夢は無力で、そして時としてあなたを突き落としもして。(あなたが光を求めるがゆえに)
夢が持つ爆発的なポテンシャルを発揮させられるのはその夢にキラキラを感じてるその持ち主以外にいないので、自分の現状に満足してない人は、その点頑張っていきましょう。(自分に言い聞かせてますよ)
そう考えると、夢は私に寄り添って応援する励まし天使のようなものでもあるな。発奮させ、慰撫し、道を照らす私の光。
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【8】夢と現実