誰かが上空から殻のない中身だけを落とした。
落ちたものは、手近にあった外枠をヤドカリのように着込むと、平然と電車に乗って会社へ行ってしまう。
私はベットでテレビのワイドショーを見て過ごす。
カップラーメンの残したスープにタバコの灰が浮いているのを見て過ごす。
外枠さんは中身さんのことを知らない。
中身さんも外枠さんのことをしらない。
もしあのとき投げ落とされたのが、あの中身さんじゃなくてこの中身さんだったのであれば、SheはただのHeだったのだ。
私は遅刻する前に会社へ行かなくてはいけない。
テレビとタバコを見て日を過ごすあの人を置いて。
いってきます。
いってらっしゃい。
______________________________
【10】逆さま
12/6/2023, 2:56:21 PM