【青く深く】
「好きだったよ…」
君のその言葉を聞き、僕はこう言った。
「どう…して…なんで君が…」
僕は笑顔で倒れている君を見つめた
君の体は青い水膨れでいっぱいだ
「なんか…体がおかしいんだけど」
「どういう事…?」
「え…」
僕がそう言ったら、君がバタンッと倒れてた
「ちょうど効いてきた…」
「あの飲み物に…危ない薬…混ぜちゃった…」
君の顔が少し歪んでいた
僕の異様な雰囲気を察していたのか
「どうしたの…?」
「…」
「ねぇ」
今の僕の顔は酷くて、きっと誰にも見せられないだろう。
心臓がバクバクして…興奮していた…
はぁ…はぁ…
キッチンへ行き、軽く息を整える…
そして僕は走って
君の家の玄関の扉を開けた
上から読むのと下から読むので
話の内容が少し変わると思います。
そんなお話です。
【夏の気配】
「ほんとあっついね…」
隣を歩く君は、襟を掴んでパタパタさせている。
汗で少しシャツが肌に張り付いている。
僕は静かに息を呑む。
『自販機あるけど、なんか飲み物買う?』
「え、あり!!何があるかな〜」
駆け足で探しに行く君を追いかける。
「ねね、これ賭けてじゃんけんしようよ」
カルピスを指差しながら君は言う。
『別に…言ったら奢ってあげるのに』
「もー違う!こういうのは勝負するからいいの」
「ほら!喉乾いたから早くしよ!」
迫力ある君の押しに
はいはい、と呆れ顔で応じるしか無かった。
けど、こういうのも悪くない。
そんな笑顔の2人のお話。
【まだ見ぬ世界へ!】
「あ、ほら!また流れた!」
「…ねぇ、ちゃんと見てよー」
『…ん?あぁ、わーきれいだねー』
「もっとちゃんと見て!とっても綺麗だから!」
『…お前さ、なんでそんなに星が好きなの?』
「んー…未知数だからかな」
「星というか宇宙が好きなんだよね」
「喋ってる今も宇宙は広がり続けてて」
「人類がどれだけ探索しても全てが分かる事は無い」
「不思議が永遠に続くってさ」
「すっっごくワクワクしない??」
『…ふーん』
そんな宇宙に憧れる友達のお話。
【最後の声】
「行ってきまーす」
『行ってらっしゃい』
それが、息子との最後の会話だった。
信号無視の車との衝突だった。
私にはどうしようもない死因だけど
家を出る時間を少しでもずらしていれば…と
自分を責め立てる日々。
ああ、息子に寂しい思いをさせちゃった。
ごめんね、お母さんを許して欲しい。
そんな死んだ母のお話。
【小さな愛】
私は気づいてる、君がいつもしてくれてる事。
1つの肉まんを2人で分けるとき
ちょっと大きい方を私にくれる事。
エスカレーターに乗るとき
私の後ろに必ず立ってくれる事。
ショッピングモールを歩いているとき
私が欲しいなって呟いた物をこそっとメモしてる事。
元気がないとき
何も言わずにアイスを目の前に置いてくれる事。
そんな小さな愛が、
私の気持ちをこんなに大きくしたんだなって。
そんな事を感じる女のお話。