【空はこんなにも】
「疲れた…まじ顧問のやつ、話なげえっつーの」
『ほんとそれな。おかげで俺らが鍵閉め当番やし』
「まじ部室あっちーな」
『それなーコンビニ行ってなんか食おーぜ』
「じゃん負けでアイス奢りな」
『えーぞ。ハーゲンダッツ奢らしたるわ」
「上等」
そんな事を話しながら俺達は部室の扉を開けた。
「うっわ、眩し、空あっか」
「え、今何時?」
『えっとーあと10分ぐらいで7時』
「えー7時やのにこんな明るいんや」
『まぁもう夏やけんなー、早いもんやな』
そんな部活帰りのお話。
【子供の頃の夢】
「あれ、もうこんな時期なんだ」
3割引の惣菜を片手に、俺は足を止めた。
会社の帰り、スーパーの中でふと目に止まった笹。
そこには沢山の短冊が吊るされていた。
[健康で元気に過ごせますように]
[彼氏とずっと仲良く出来ますように]
[大学受かりますように]
そんな願い事の中、
[ゆにこーんにのりたい]
そんな可愛い短冊に、ふふっと口元が緩む。
せっかくだし俺も書いてみるか。
そう思い、ペンを手に取ったが思い浮かばない。
ありきたりな願いばかりで、独創性もクソも無い。
これが、大人になるってことなのか。
そんな事を感じた男のお話。
【どこにも行かないで】
私のこと、好きなんでしょ?
じゃあなんで離れてくの。
貴方からアプローチしてきて、
私をその気にさせて、好きにさせて。
私には貴方しか居ないのに。
そうやって今回も勝手に決めて。
私を好きにさせたんなら、
最後までちゃんと好きでいて…隣にいてよ…。
そんな一方的なお話。
【君の背中を追って】
負けちゃうなぁ、君には。
身長もスタイルも性格も頭脳も運動神経も
何もかも。
それでも、憧れて学んで追いかけて
君と同じ様にすれば、君と同じ様になれる。
「真似ばっかりじゃなくて、自分らしさ出しなよ」
私にとっては、
君の背中を追いかけることが
自分らしさであり、生き甲斐なんだ。
そんなお話。
【好き、嫌い、】
貴方ってさ
飲み会多いし、朝帰りはザラだし、
いつもより早く帰ってきたと思ったら顔真っ赤だし、
家に着いた途端に荷物玄関に放り捨てちゃうし、
お酒臭いの嫌いなのに私に近づいてくるし、
やめてって言っても離してくれないし、
ていうか私の話聞いてないし、
ずっっっと私にくっついてるし、
ずっっっと愛してるばっかり言ってくるし、
ずっっっと結婚して良かったって呟くし、
顔真っ赤っかのくせに、
もう、うるさい!!笑
そんな素直になれない妻のお話。