【雨上がり】
雨の日、大声で泣き叫ぶ主人公。
でも空から光が差して、虹が出て、
キラキラの笑顔になって、
前を向いて進んでいこうってなる物語。
…なんてくだらないの。
空が主人公の気持ちと連動してるみたいな設定。
空が晴れたから、自分の気持ちも晴れる?
面白味も現実味も無い設定。
いい?
空はね、私の気持ちなんて微塵も解りゃしないの。
楽しみな日だって雨は降るし、
死にたいって思っていても青空が広がる。
雨が上がったとて、私の気持ちは変わらないの。
そんな皮肉な女のお話。
【勝ち負けなんて】
「はーい!俺の勝ちー!」
『いーや、化学と数学は私の方が高いからー!』
「合計点で勝負ですぅーーー」
『そんなの言ってないしーーー』
「俺勝ったからジュース奢れよー」
『もー、最悪ー』
嬉しそうな顔の貴方。
それを見て、笑う私。
私が少しも悔しがってない事、気づいてるかな。
負けて嬉しくなってる事、分かってるかな。
正直、負けるのも奢るのも苦じゃない。
貴方と話すことが出来るのだから。
そんな恋する私のお話。
【まだ続く物語】
「思えば…楽しい人生だったなぁ…」
白いベッドの上で呟いた。
愛する家族、妻、娘、友人。
沢山の想い出が男の頭を駆け巡る。
「これが…走馬灯ってやつなのか…」
「ちょっと終わるには早すぎるけど…」
「家族に見守られながら終わるのも…悪くない…」
手探りで言葉を並べて呟く男を
妻と娘は優しく見ていた。
ーーーーーーーーーー
『はーい!お疲れ様でしたー!』
突然の大きな声で男は目覚めた。
『いかがでしたか?チュートリアルの方は』
混乱する男を置き去りに、白衣の人間は話を続ける。
『ある程度の操作方法は分かりましたでしょうか』
『ではこれから、本編をどうぞお楽しみください』
そんな男のお話。
【渡り鳥】
「明日、ほんとに行っちゃうの…?」
『…うん。ごめんな』
「ううん、事情なんでしょ?仕方ないよ」
「でも、もうちょっと一緒に居たかったな」
『俺も』
「…あぁダメだ、泣きたくなんてなかったのに…」
『…大丈夫。離れても俺ら親友だろ』
『約束する。何があっても、どれだけ忙しくても、』
『年に一回はお前に会いに行く。必ず』
「…分かった。僕、待ってるね」
そんな渡り鳥みたいな君のお話。
【さらさら】
そう言えば、今の空めっちゃ綺麗だよ。
んー、ここからじゃよく分かんない。
なにが綺麗だったの?
ほし。これが天の川って言うやつなのかな。
しらなーい。私そう言うのはわかんないよ笑
のってるんじゃない?ネットとかに。
おー、めっちゃ綺麗…流れてるみたい。
話聞いてないな…。
。ま、いっか。