あいまいな空
昨夜は飲みすぎた
朝から頭の中で鉛玉がうごめいているみたいに鈍痛がする
仕事がはかどらない、ため息だけが唯一の二日酔いのリハビリだ
昼休み、外に出た少し頭痛は治まっている昼食を食べ、空を見上げると
そこには、自分と同じような、あいまいな空が広がっていた
あじさい
鬱陶しい雨が続く、辺りが霞がかっていて少し気だるい、連日の雨で周りの草花には色気がなく、水で薄めすぎた水彩画のようだ
いや、一画だけ油絵のような色彩を放ち、あたかも田舎の郵便ポストの様に存在感がある
風が吹くほど強く大地をつかみ、雨が降るほど色気を漂わせる
見とれていた、雨に濡れているのも忘れて
雨の日も悪くない
好き嫌い
私は48歳トマト農家だ
嫌いなトマトで生計を立てている
実家は60年続くトマト農家だ、この世に生を受ける前からトマトがそこにあった
物心つく頃にはトマトは嫌いだったと母は言う
無理やりトマトを口に入れられ、酸っぱい顔が面白かったのか、かわいかったのか分からないが嫌いになった理由はこれだ
高校を卒業してから、すぐに就農した
自分で作ったトマトでもなかなか口に運べない
結婚して、子供が産まれた、子供の口にトマトを入れる、酸っぱい顔がかわいい
この子もトマト嫌いになるのかな
街
ある街の交差点で、すれ違い様にハッとした
それは2年前に別れた、左頬にほくろがある黒髪ストレートの彼女だった
一瞬目があったが、彼女は気づいたのか分からない
交差点をわたり終え、振り返るとか彼女の姿はない
それは、季節外れの風鈴を思わせるような凛とした匂いだった
彼女と別れたきっかけは、お互い仕事が忙しく、すれ違いが多くなり、最後は自分から別れを切り出した、いつも逢ってる時は離れたくなかったのに、逢わなくなると忙しいせいもあって面倒くさくなった
彼女がどう思ったかは分からない、ただ共通の友達から聞いたはなしでは、別れたくなかったそうだ
そんな話を聞いたせいか、心の片隅に彼女の存在、そして当時の甘ったるい匂いが残ったままだった
今は仕事も落ち着いた、彼女もいない、昔みたいに妙な焦りはない、もう一度彼女と話がしたい
彼女の凛とした甘ったるい匂いを嗅ぎたい
岐路
分かれ道
人生にはいくつもの岐路がある
人間は1日で35000回判断をしている
この中で人生をも変える大きな岐路は、決して簡単な判断ではない、そう判断せざるおえないことも多々ある
選択肢を広げるには、常に高いステージで成長し続けなければならない
沢山の分かれ道から、いくつも枝分かれしていく
岐路亡羊といわれても、選択肢があるだけまだ良い
大切なのは、選択した道で後ろを振り帰らず、1歩1歩前に進むこと
岐路に立った時、人は大きく成長する、沢山の実を着けて幸せを分かち合おう