猫宮さと

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6/10/2024, 1:27:36 PM

《やりたいこと》
同じ時代に生まれたい。
同じ地に立ちたい。
同じ空気を吸いたい。
たったこれだけだった願い。
そんな望みもあなたの傍に立てた途端、
次々と心の底から新しく溢れ出す。

あなたの事をもっと知りたい。
他愛のない話がしたい。
二人で何処かへ出かけたい。
幸せそうに笑っている顔が見たい。

でも、今この瞬間願う事は。
あなたには生きていてほしい。
あなたが救った、この大いなる巨人が支える地には、
きっとあなたの幸せが眠っているから。

この命と引換えにあなたを守れるならば、
笑って空へ身を捧げます。

6/9/2024, 12:35:19 PM

《朝日の温もり》
東の空が白む。
月は姿を消し、
日は明星の導きにて姿を表す。

鳥は訪れを高らかに謳い、
森は恵みを受け、
泉はその輝きを増す。

風は森の囁きを運ぶ。
子よ、来たれ。遥か世界より来たれ。
古の呪詛より傷付けられし魂を救うために。
地の根を支える魂に応えるために。

子よ、汝の想い通うとき、
魂に新たな光が灯る。
子よ、その温もりへと彼らを誘え。
かの地の知恵と、その強き想いをもって。

6/8/2024, 12:43:23 PM

《岐路》
彼が傷付けられそうなとき。
彼が貶められそうなとき。
心の奥底から声がする。
「怒りに身を焦がせよ。嘆きに溺れよ。」
暗く淀んだ声がする。

声と共に心は引き寄せられる。
深い闇の底へ誘われる。
囁きに身を任せ、彼を苦しめるものを壊し尽くせば、
心は楽になるのかな。

それでもあなたの誠実な優しさを湛えた瞳が、
私を導いてくれる。
私は迷わず進んでいける。
闇と光への分かれ道を、
あなたの灯火が照らしてくれるから。

6/7/2024, 12:15:51 PM

《世界の終わりに君と》
「世界が終わりを迎えるなら何がしたい?」
そう聞かれて真っ先に浮かぶは、大好きな彼の顔。

終わりの瞬間まであなたと一緒に寄り添えたら。
手を取り合っていられたら。
私は最高に幸せな終わりを迎えるだろうな。

けれど、それは叶わぬ願い。

世界の終わりが来そうなら、
きっと彼はそれが何であろうと立ち向かう。
自分の幸せが犠牲になっても世界のために闘った人だから。

だから私が代わりに願うのは。

世界の終わりを遠ざけに旅立つ彼を、
笑って見送れますように。
私が、彼の帰る場所になれていますように。

6/6/2024, 1:08:43 PM

《最悪》
やってしまった。
シロップと間違えてオイルを入れてしまった。
見慣れないボトル故の不注意。
できたケーキは、ドロリとくどい舌触り。
材料ももう無いし、間もなく彼は帰ってくる。
本当に最悪。

と、頭を抱えしゃがみこんだ拍子に頭に過る。
かつて私が知っていたこの世界は、二回も滅びかけている。
大事な彼が仲間と共に守った、この世界。
料理の失敗を最悪と言える、この平和。

いつまでも続きますようにと、現実逃避しながら天に祈った。

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