《失恋》
伝わることのない想い。叶うことのない恋。
はじめからそれが確定しているのなら、
私の恋が破れるのは果たしていつのことなのか。
流れる時に心がすすがれたらか。
それともこの魂が消え去るときか。
私が一番恐れることは、
この想いが許されざるものとされるとき。
その瞬間こそ、私の恋が破れるとき。
《正直》
ずっと気持ちを押し殺してきた。
願うはずのない願い。届くはずのない想い。
決して交わる事のない世界。
彼方よりも遠い、あなた。
今は違う。
奇跡は起こり、あなたが手の届く場所にいる。
押し潰されていた心は、殻を破り鮮やかに芽吹く。
願ってもいいですか?
あなたの心からの笑顔が見たい。
求めてもいいですか?
あなたへ私の想いを届けたい。
これが、私の本当の気持ち。
もう、誰に恥じる必要もない。
旨を張って言えます。
愛してます。
《梅雨》
幾日も続く曇天から降り続ける雨。
雨音しかしない通りに並ぶ、二つの傘。
濡れる足元にうんざりしつつ隣の横顔を覗き見ると、
ふと合う視線。見たこともない優しい笑顔。
顔が熱くなる。鼓動は、跳ねる雨水のよう。
慌てて傘を顔の影にする。赤い顔、隠せたかな。
やっぱり、雨でよかったかもしれない。
明日もこんな日が続くかな。
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長雨の中、誰もすれ違わない道を歩く。
すぐ横には、僕の目線の高さの明るい色の傘。
言葉はなくとも、ゆるりと解れていくような心地よさ。
かつて僕の頑なさ故に失いかけた存在に感謝しつつ見つめていると、
少し動いた傘からちらりと覗く、大きな瞳。
繋がる視線に浮かれて、つい顔が綻んでしまう。
残念、傘に隠れてしまった。
それでも、一瞬見えた貴女の染まった頬が雨空によく映えて。
ああ、僕は今、こんなにも幸せだ。
《無垢》
それは本当に強い人だった。
闘いの腕だけじゃない。
曲がった事を正すなら、例え国が相手でも折れずに立ち向かう精神。
愛する者に銃を向けられても憎む事のない優しさ。
何も得る物が無くとも、世界を救う為に闘い続ける覚悟。
全てが強くて、眩しい人。
この人なら全てを信じられる。
私の思いには、一片の曇りも無い。
《終わりなき旅》
こちらへ笑顔で手を振る皆と離れ、戻って来た私。
近いと思っていた場所は、気付けば遥か彼方。
あの時、悲しみに沈んでいたあなた。
今は笑って暮らせていますか?
皆と楽しく話せていますか?
いつか遠い遠い未来でもいい。その姿が変わっていてもいい。あなたの笑顔を間近で見たい。
必ず、あなたを探し出す。
そのためなら幾千もの時代も世界も巡りましょう。