猫宮さと

Open App
5/29/2024, 1:56:49 PM

《「ごめんね」》
それは彼女の口癖だ。

テーブルに置かれた塩を手渡す時。
手が届かぬ場所の本を取った時。
涙が溢れた目へ当てるハンカチを手渡した時。
目眩でふらつくその身体を支えた時。

闇に魅入られた色を持つ彼女の「ごめんね」を聞くたびに、僕の心に風が吹く。
疑念の雲を少しずつ吹き払うかのように。
ぼやけた心の輪郭がはっきりと見えたなら、
本当の彼女を知る事が出来るのだろうか。

5/28/2024, 12:59:54 PM

《半袖》
夕日に赤く照らされたスラッとしたあなたの背中。
続く肩から伸びる半分覗く二の腕から垣間見える、
今までの努力も苦しさも全て詰め込んだ逞しさ。

汗ばんだ頬も張り付く髪の毛も、燃える瞳も、
未来へ続く力を紡ぐ。

心が強い事は知っていたけれど、
またあなたの新しい強さが見れた。

その立派な腕の中に、
どうか悲しみよりもたくさんの大きな幸せが抱え込まれますように。

5/27/2024, 10:49:35 AM

《天国と地獄》

あなたの隣に立つことができた。
でも、私はあなたに闇の者と疑いを掛けられた。
いざという時に手を下すことができる、私の場所はそんな位置。

あなたはいつも皆を導く責任と過去の重圧に潰されそうで、毎日追い詰められていて。
それでも、自分を殺めようとした家族を見捨てられないほど優しくて強いことも知っている。

疑われていてもいい。警戒されていてもいい。
あなたの心が折れないよう支えることができれば。
私に気を取られている間は日常の重圧から逃れられるのなら。

あなたの隣は、私にとって最高に幸せな場所だから。

5/26/2024, 2:13:37 PM

《月に願いを》
太陽が姿を消してすぐ。
夜空に浮かぶ、細い月。
この月が満ちて天の頂に登るように
あなたの心に光が満ちて登っていきますように。