#19「浮気」
君が本当に好きだから、本当は全部知っているけど、君が何でもないように振る舞うから、私も何でもないように過ごすの。言っちゃうと、もう会えなくなるから。
お題:何でもないフリ
#18「卒業」
胸ポケットに花を添えて、仲間たちと笑い合う。
クラス写真を校庭で撮った後、何人かのクラスメイトは泣いていた。先生も半分泣いていた。
みんなで、まだ冷たい空を仰いで、たくさん作った思い出を忘れないようにと誓った。
もうすぐ別れる仲間たちと、いつかまた会える日まで。
お題:仲間
#17「手と手とポケット」
私の手は小さい。
君の手は大きい。
君は凍える私の手を取って、
君のポケットに突っ込んだ。
君の体温の掌で、
震えは確かに消えていた。
お題:手を繋いで
#16「クリスマスのプレゼント」
雪の降るホワイトクリスマス。
街を歩く隣の君の温度の手の中で、なぜか緊張気味の君に、雪が溶けちゃいそう。
夜景の見える橋に来たとき、君は「ちょっと待って。」って。コートのポケットから小さな箱を取り出して、私の前でその箱を開いた。
その中で輝く小さな指輪。
リングの細やかな金色の装飾に、真ん中で煌めくダイヤモンド。
最近、彼がお金を貯めている理由が分かった。
でも、ごめんね──。
私がこの前ダイヤモンドが綺麗だって言ったから、私がそんなこと言ったから、無理させちゃったのかな。
君の言葉の後、私は笑って、彼に抱きついた。
「ありがとう、大好き!」
込み上げるこの上ない幸せの中で、その指輪は街の灯りよりもずっと輝いていた。
お題:ありがとう、ごめんね
#15「隅っこ」
部屋の隅っこってなんだか落ち着くよね。
反対に、部屋のど真ん中はなんだか不安を覚える。
それはきっと、たくさんの人が通る場所だから。
隅っこは、誰もわざわざ通らないし、人目も少ない。
だから、落ち着くし、安心する。
いつも皆んなと笑っているけど、
心の何処かで、一人を求める僕がいる。
お題:部屋の片隅で