現実は辛いことが多い。
こうなりたい…と夢を見てた頃が愛おしい。
あの頃と、今と、
思っていたのとは違ってしまったけど
まだもう少しだけ
夢を見てたいと思う。
朝。
カーテンをあけた。
目を閉じたくなるような眩しさが身体中に刺さる。
今日は洗濯日和だ。
洗濯機の中で踊る布達を見つめて、
ついでに自分も洗えないものか?と思う。
こんな力強い陽射しで乾かしたら、、、
そしたらきっと、
もう少しマシな人間になれる気がする。
溜め込んで、迷惑をかけて、しんどくて、、、
時々、膿を出す事も、それすらも許されなくて、
辛い想いをさせてしまう。
全てを真っ白にして、
太陽の下で乾かしたら、
辛い想いをさせることもないような人間になれるのかな?
青々と繁る緑の上に乗る。
サク‥サク‥サク…
一歩ずつ足を進めると響く音。
フワフワと草を踏みしめる感触。
「気持ちいいね」
私は嬉しそうに足元を見つめて言う。
風が楽しそうに身体にまとわりつく。
『踊りませんか?』
そんな声が聞こえた気がして、
クルリ‥クルリ‥
なんとなく2回、回ってみた。
「ふふ…笑」
まるで、子供の頃に戻ったみたいな感覚になり、
靴を脱いでみた。
ダイレクトに肌に刺さる土と草の感触。
少し冷たくて、でも優しい。
私は更にくるくると回ってみる。
風が…陽が…身体中にまとわりついて、
倒れないように支えてくれてるみたい。
気が済むまで私は踊り、
そして、倒れ込んだ芝生の上で空を見上げた。
晴れていたのに、
急に濃い雲が現れて泣き始めた。
通り雨だ。
その隣で、太陽が慰めるみたいに
優しく温かい陽で包み込む。
アスファルトに染み込んだ雲の涙が
どんどん黒く濃くなっていく。
いつの間にか雲は泣き止んだみたいで、
雲間から太陽の陽が差し込んで、
泣き跡を乾かしていた。
紅葉狩りにでも出掛けようか。
思わずそう言ってしまいたくなるくらいに
気持ちの良い天気。
暑すぎず、心地好い冷えた風が吹く季節。
僕は隣でのびのびと眠る君を見つめる。
元々インドアなのに、
感染症の影響で更に家から出なくなった君。
外に行こう!なんて言ったら、
きっと「今日はのんびりする日!」と、
大好きな枕を抱えて布団に籠城してしまうだろう。
嫌がることはわかるので、
あえて言わず、僕は静かに外を見つめる。
開いた窓からは焼き鳥屋の香ばしい、いい匂いがする。
もう少し日が落ちたら、
焼き鳥を買いに行くくらいは誘ってもいいかな?
きっと、食べるのが好きな君だから、
それくらいなら二つ返事でOKしてくれるはず…かな?