最初から決まってた
分かっていた…。
最初から分かっていた。
兄様達より劣っていた。
兄様達は、容姿も頭脳も…
何もかも完璧で、それぞれ特技を持っていた。
それに比べ、私は容姿も頭脳も…
兄様達に比べれば、最悪なものだ。
兄様達は、私の事を褒めてくれる。
「可愛い」
「良い子」
「流石俺らの妹」
なんて言うけれど、兄様達は自分たちが褒められたいから。
鳥かご
⚠️BAT END⚠️
俺はずっと鳥籠の中にいる。
外の世界なんて知らない。いや…知りたくもないな。
だって総統様は、「他国なんて危険だ。特にお前のような奴は、すぐに危険に晒される。だから、この国から一歩も出るな?」なんて言われた。
正直外に出てみたい。
だけど総統様は許してはくれないだろう。
俺は今まで総統様の指示を受けてきた。
だから…今更総統様の命令を拒めない。
拒んでしまえば…何をされるか分からない。
「外の世界を知りたいな…」
誰に聞かせるもない独り言を溢した。
「今日も戦争か…。」
長い長い廊下を一人で歩く。
「今日の戦争相手は…R国か…。
此処も強いんだよなぁ…勝てるはずも無い。」
そうR国は負けなしの国。
この国なんてあっという間に、滅ぼされてしまうだろうな。俺はそんなことを思っていると、総統室前まで来ていた。
“コンコンコン…”乾いた音が響く。
「No.Iです」と言うと中から「入れ」と返事が返って来たので、そっと扉を開き、「失礼します。」といい一礼して入る。
「総統様。お呼びでしょうか。」
総統様は、俺の顔を見て言う。
「今回の戦争はかなり厳しいものになるだろう。
だから“手加減”はいらない。あの国総統の首を、我に持って返って来い。出来るな?できなければ…分かるな?お前には期待しているからな?」
総統様の言葉に俺は片膝を付き、お決まりのセリフを言う。
「はい。我が主人様の為…
この身に変えても主人様を守り、勝利を捧げます。」
気がつけば、戦争は終わっていた。
俺の国は負けていた。
最初から結果は分かっていた。
分かっていたはずなのに…。
そして俺は今敵国総統の前にいる。
(嗚呼…今から俺は殺されるのか…。
まぁこれで俺はこの世から解放される。)
俺はそう思い目を閉じる。
目を閉じる前、綺麗に磨かれた剣が見えた。
(あれで切られたら、もう意識はないだろうな。)
なんて呑気な事を考えていた。
嗚呼…外の世界を見たかったな…。
アイされたかったな…
最後に会いたかったな…妹に…。
俺の意識は暗い闇に飲まれた。
私だけ
私だけを見て。
他の人なんて見ないで。
他の人と同じに接しないで。
私は私だけ。
私にしかできないことだってある。
他の人と同じ形に嵌め込まないで。
私は私だけの形を生きる。
だから...
どれだけ評価が低くても...
貶さないで。
笑わないで。
認めて。
私にしか生きれない道があるから。
終わりにしよう
『もう終わりにしよう…神谷…。』
そう言って、悲しそうに俺の方を向く。
「なんでそんな事言うの…?仁くんは俺のこと嫌いになったの…?ねぇ…仁くんが嫌だって思った所、直すから…お願いだから別れないで…。俺から離れないで…。俺を嫌いにならないで…。」
俺は仁くんに縋り付く。
仁くんは俺を、貶すような表情で見下ろす。
そんな表情…今まで見た事ないよ。
本当に俺のこと嫌いになったの…?
涙でぐちゃぐちゃになった俺を見て、仁くんは俺の前にしゃがみ、一切れの紙を渡す。
『はい、これ。これが最後。』
俺は渡された紙を開く。
【★ドッキリ大成功!★】
「はぁ⁉︎」
俺から間抜けな声が漏れた。
流れていた涙は引っ込んでいた。
此処まで心臓に悪いドッキリは初めて受けた。
俺は紙切れから目を離し、仁くんの顔を見た。
仁くんは、俺の反応が面白かったのか笑っていた。
俺は少しの怒りと、呆れが同時に訪れた。
俺は服の袖で涙の跡を拭くと、立ち上がって仁くんを力強く抱きしめた。
仁くんは驚いていたが、俺の頭を優しく撫でた。
「仁くん。もうあんなドッキリしないでね。心臓に悪いし、本気で仁くんに嫌われたのかと思った!」
俺が怒って言っても、仁くんは笑って謝る。
『ごめんってw本当に騙されるとは思わなかったからさ。もうしないって。多分w』
「多分ってwもうっw!」
俺はそんな仁くんが愛おしくて、大好きだ。
これからも仁くんの隣に居たいな。
1件のLINE
ピコン
スマホから音が鳴った。気になりスマホを手に取る。
スマホの画面には…
明日香
ねぇ…いつになったら、彼女と別れて私と付き合ってくれるの?
絶望した。
なんで?私を裏切るようなことするの?
このアイコンの明日香って私の友達。
もう彼を許さない…