鳥かご
⚠️BAT END⚠️
俺はずっと鳥籠の中にいる。
外の世界なんて知らない。いや…知りたくもないな。
だって総統様は、「他国なんて危険だ。特にお前のような奴は、すぐに危険に晒される。だから、この国から一歩も出るな?」なんて言われた。
正直外に出てみたい。
だけど総統様は許してはくれないだろう。
俺は今まで総統様の指示を受けてきた。
だから…今更総統様の命令を拒めない。
拒んでしまえば…何をされるか分からない。
「外の世界を知りたいな…」
誰に聞かせるもない独り言を溢した。
「今日も戦争か…。」
長い長い廊下を一人で歩く。
「今日の戦争相手は…R国か…。
此処も強いんだよなぁ…勝てるはずも無い。」
そうR国は負けなしの国。
この国なんてあっという間に、滅ぼされてしまうだろうな。俺はそんなことを思っていると、総統室前まで来ていた。
“コンコンコン…”乾いた音が響く。
「No.Iです」と言うと中から「入れ」と返事が返って来たので、そっと扉を開き、「失礼します。」といい一礼して入る。
「総統様。お呼びでしょうか。」
総統様は、俺の顔を見て言う。
「今回の戦争はかなり厳しいものになるだろう。
だから“手加減”はいらない。あの国総統の首を、我に持って返って来い。出来るな?できなければ…分かるな?お前には期待しているからな?」
総統様の言葉に俺は片膝を付き、お決まりのセリフを言う。
「はい。我が主人様の為…
この身に変えても主人様を守り、勝利を捧げます。」
気がつけば、戦争は終わっていた。
俺の国は負けていた。
最初から結果は分かっていた。
分かっていたはずなのに…。
そして俺は今敵国総統の前にいる。
(嗚呼…今から俺は殺されるのか…。
まぁこれで俺はこの世から解放される。)
俺はそう思い目を閉じる。
目を閉じる前、綺麗に磨かれた剣が見えた。
(あれで切られたら、もう意識はないだろうな。)
なんて呑気な事を考えていた。
嗚呼…外の世界を見たかったな…。
アイされたかったな…
最後に会いたかったな…妹に…。
俺の意識は暗い闇に飲まれた。
7/25/2024, 11:53:02 AM