何もいらない
「何か欲しいものある?」って聞くと君は、
「貴方がいれば、何もいらないよ。」って答える。
記念日も誕生日もそうやって言う。
ちょっと心配。いつも同じ答えだから、「なんでそう言う答えなの?」って聞くと、君はちょっと照れくさそうに言う。
「だって…私は貴方と居られるのならば、幸せなんだよ?貴方と一緒なら、プレゼントよりも嬉しいの。」
そうやって君は、顔を逸らす。
その仕草が可愛らしくて、君を抱きしめる。
抱きしめ返された温もりが、ずっと続けば良いなって思ってしまう。
桜散る
「懐かしいね」と語りかけても君は無視をする。
私はそれが可愛くて撫でてしまう。
そうすると、君は私の方を向いてくれる。
ちょっと不貞腐れているけど...。
「今日お散歩行こ?」って言うと、君は不貞腐れた顔をしながら、付き合ってくれる。
一緒に歩いていると、桜散る道に着いた。
「おぉ!見て見て!
凄い桜散ってるけど、桜吹雪だよ!」と私がはしゃいでいると、君は花弁を取ろうとして必死だった。
頭の上にいる花びらの存在気づいていないみたいだった。その仕草が可愛くて笑っていたら、君は私の方を向いて首を傾げる。
何に笑っているのか分かっていないみたいだ。
それが可愛くてまた笑ってしまう。
笑っているとだんだん君は構って欲しくなってきて、私にグリグリと頭を擦り付ける。
「はいはい。ごめんね」と言いながら君の黒い頭を撫でる。
君は嬉しそうに鳴く。
「にゃあ」
届かぬ想い
いつまでも一緒って思ってた。
ずっと相棒でいられると思った。
だけど現実は残酷なもので、相棒に特別な感情を抱いてしまった。
相棒には一生言えないものだ。
言ってしまえば、この関係性も消えてしまうし、相棒も気を使ってしまう。
だから、僕は相棒の元を去ろう。
相棒の知らない遠く遠く、自身も知らない所へ行こう。相棒の目の付かない遠い場所へ、行ってしまえば相棒は僕のことを忘れるだろう。
月日は流れ、この風景にも慣れてきた。
最初は色々苦労してきたけど、案外人間は慣れてしまえば、どうにでもなるもんなんだなと納得した。
相棒は僕の事を忘れただろうか。
かつての仲間とは、度々連絡を取っているが相棒は未だに僕のことを探しているらしい。
探しても無駄だよ。僕の事なんか忘れて、相棒の隣に並べるほどの凄い人を探したらいいのにって、思ってしまう。
嗚呼なんて人は残酷なんだろうか。
こんな醜い感情なんていらない。こんな気持ちになるんだったら、最初から巡り合わなければ良かったのに、こんな届かぬ想いがあるんだったら、消してしまいたい。
なんて思いながら、窓辺に腰を掛けた。
何となく、ここから見えるいつもの景色がいつもより、ぼやけて見えた。
僕の頬に季節外れの冷たい雨が降った。
神様へ
神様へ
どうか救って下さい。
僕の周りは戦争に敗れ、もう誰もいません。
僕たちの国は負けたのです。
生き残っている人はもう居ません。
僕しか残ってません。
皆の亡骸を探していますが、なかなか見つかりません。
皆好きでした。
ですが、特に1番傍にいた人に会いたいです。白がよく似合った男。どこに行く時も一緒に行ってくれた人なんです。
あと1人......その1人の人の亡骸だけが見つかりません。
神様どうか助けて下さい。
緑が似合う人より
神様へ
もう僕は長くないみたいです。
もうそろそろ、貴方の方に逝くみたいです。
結局あの大好きな、白が良く似合う男の亡骸は見つかりませんでした。
情けないですよね。
いつも一緒に居たはずなのに、大好きだったはずなのに悲しいですね。
どうか今度こそ、白が良く似合う男の傍に最後までいさせてください。
緑が良く似合う男より
遠くの空へ
「遠いな......」
なんて零しながら空を見上げた。
今までの僕は、皆に置いていかれないよう頑張っていたけど、そろそろ限界かな。
僕は面白みに欠けてきていた。
何をやっても否定されるし、上手くいかない日々が続いた。
「いっそこのまま、辞めてしまおうか......。」
なんて言いながら、遠くの空に手を伸ばしていた。
遠くから僕を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい!○○ー!そろそろ次行くぞー!」
と仲間で1番元気な彼奴が僕を呼んでいた。
そっか。僕には信頼出来る仲間がいたんだ。
そう小さい声で言いながら、僕は仲間の元に向かって走った。
「待ってよぉ〜!www」