言葉にできない
ちゃんと伝えたいのに、伝えられない。
言葉にしようとしても、言葉にできない。
行動しようとしても、行動に移せない。
何をやろうとしても、何も出来なくなっていく。
あの人に想いを伝えたくても、伝えようと努力しているのに、私の中の誰かが足を引っ張る。
『今はダメだよ』『アンタには向いてない』
『諦めろよ』『嫌われてるのに?』『気づけよ』
分かってる......分かってるよ。
だけど私は挑戦したいんだ。振られても構わない。伝えられずにお別れはしたくない。
言葉にできなければ、言葉を綴ればいい。
私の想いを伝えられるだけでいい。
だから、ちゃんと見てろよ?
今までの意気地無しの私。
春爛漫
「う〜ん......よく寝た。」
とベットの上で体を伸ばして、ベランダに向かう。
カーテンを開け、窓を開けると満開の桜が目に付いた。
「うわぁ!凄い咲いてる!」と子供に戻ったかのように、はしゃいでしまった。
早速ベランダに出ると、桜の香りが風に乗ってやって来た。「今日が休日でよかったなぁ〜」と言いながら桜に手を伸ばした。桜の木はベランダの先にまで良く成長しており、花びらの先まで良く見えた。
しばらく桜を堪能した後に、朝食の準備をするために中に戻った。
「今日は何を作ろうかなぁ〜。あっそうだ。トーストにしよう!昨日美味しそうなジャム買ったし。」と独り言を言いながら、トーストの準備をし始める。「あとは......アレクサ!私の好きな音楽かけて。」と言うとアレクサは私の大好きな曲をかけ始めた。朝食の準備が終わると、ベランダに小さめの机を持って行き、その上に朝食を置いた。
「いやぁ。桜をまじかに見ながら食べる朝食は良いなぁ。」と言いながら、朝食をたべ始めた。
誰よりも、ずっと
もう何年この場所に居るのだろうか。
何不自由なく生きている僕だけど、彼女は僕を養う為に、苦労して仕事をしている。
何となく申し訳なくなって、彼女が仕事帰りに買ってきてくれる食材で、2人分のご飯を作って食べて、一緒にいる時間を大切にしている。
僕はたまに彼女に心配で聞いてしまう。
「ねぇ....?僕も働いた方がいい..?」
彼女はやっぱり、いつものように答える。
「大丈夫だよ!私は○○君を養いたいから働いているんだよ!」
「ふぅん......」
「さ!明日も仕事だし、寝よ?」
と彼女に腕を引っ張られながら、ベットに向かった。ベットに入るなり、彼女は仕事疲れからなのか、すぐに寝入ってしまった。
僕は眠れずに彼女の顔を見ながら、少し考え事をしていた。
(僕はいつからこの場所に居るんだろうか...。きた記憶が無いし、元々この人と知り合いだったのだろうか。)と考えていると、急に頭が痛くなってきた。
「ゔゔ......」
断面的に今までの記憶が蘇ってきたような気がしてきた。
(あっ......あとちょっと...)と思っていた時に、「○○君」と彼女が呼んでいた。
ふと顔を上げると、真顔の彼女がこちらを見ていた。「大丈夫?」と少し冷たい声で言った。
そしたら、今までの記憶達がバラバラと音を立てるような感じで、僕の頭の中から消えていった。
「大丈夫だよ......起こしちゃった?」
と声をかけると、彼女は安心したように「心配だったから」と返してくれた。
そのうち睡魔に襲われて、眠りについた。
彼女が僕の頭を優しく撫でているうちに、意識が遠のいた。
「ふぅ......危ない危ない。何でいつも思い出そうとするのかなぁ〜。君はずっとここにいるんだよ?
誰よりも、ずっと愛し続けてあげるからね?」
と言って彼の頭を撫でた。
これからも、ずっと
「これからも、ずっと
一緒に居るって約束したじゃん...。」
どんなに...どんなに、君に、言っても、
君は目を開けることはない。
「ねぇ...。約束したよね?僕を置いていかないって、指切りして、笑い合ったあの日に。」
君の頬を撫でても、君は僕の方を見ない。
僕は棺の中の君の胸元に勿忘草を置いた。
「君と僕が好きって言ってた、花だよ......。
もう、もう......一緒に、つむことは無いけど、君の事ずっと忘れないから」
そう言って僕は、君から離れた。
沈む夕日
また今日が終わってしまう。
そう思いながら夕日を眺める日々。
沈む夕日を見ながら、いつもため息を漏らす。
明日こそ上手く生きられますように。
いつもそう願いながら、夕日を眺める日々。