SHADOW

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誰よりも、ずっと

もう何年この場所に居るのだろうか。
何不自由なく生きている僕だけど、彼女は僕を養う為に、苦労して仕事をしている。
何となく申し訳なくなって、彼女が仕事帰りに買ってきてくれる食材で、2人分のご飯を作って食べて、一緒にいる時間を大切にしている。
僕はたまに彼女に心配で聞いてしまう。
「ねぇ....?僕も働いた方がいい..?」
彼女はやっぱり、いつものように答える。
「大丈夫だよ!私は○○君を養いたいから働いているんだよ!」
「ふぅん......」
「さ!明日も仕事だし、寝よ?」
と彼女に腕を引っ張られながら、ベットに向かった。ベットに入るなり、彼女は仕事疲れからなのか、すぐに寝入ってしまった。
僕は眠れずに彼女の顔を見ながら、少し考え事をしていた。
(僕はいつからこの場所に居るんだろうか...。きた記憶が無いし、元々この人と知り合いだったのだろうか。)と考えていると、急に頭が痛くなってきた。
「ゔゔ......」
断面的に今までの記憶が蘇ってきたような気がしてきた。
(あっ......あとちょっと...)と思っていた時に、「○○君」と彼女が呼んでいた。
ふと顔を上げると、真顔の彼女がこちらを見ていた。「大丈夫?」と少し冷たい声で言った。
そしたら、今までの記憶達がバラバラと音を立てるような感じで、僕の頭の中から消えていった。
「大丈夫だよ......起こしちゃった?」
と声をかけると、彼女は安心したように「心配だったから」と返してくれた。
そのうち睡魔に襲われて、眠りについた。
彼女が僕の頭を優しく撫でているうちに、意識が遠のいた。
















「ふぅ......危ない危ない。何でいつも思い出そうとするのかなぁ〜。君はずっとここにいるんだよ?
誰よりも、ずっと愛し続けてあげるからね?」
と言って彼の頭を撫でた。

4/10/2024, 4:06:24 AM