銀の人

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4/10/2024, 4:06:24 AM

誰よりも、ずっと

もう何年この場所に居るのだろうか。
何不自由なく生きている僕だけど、彼女は僕を養う為に、苦労して仕事をしている。
何となく申し訳なくなって、彼女が仕事帰りに買ってきてくれる食材で、2人分のご飯を作って食べて、一緒にいる時間を大切にしている。
僕はたまに彼女に心配で聞いてしまう。
「ねぇ....?僕も働いた方がいい..?」
彼女はやっぱり、いつものように答える。
「大丈夫だよ!私は○○君を養いたいから働いているんだよ!」
「ふぅん......」
「さ!明日も仕事だし、寝よ?」
と彼女に腕を引っ張られながら、ベットに向かった。ベットに入るなり、彼女は仕事疲れからなのか、すぐに寝入ってしまった。
僕は眠れずに彼女の顔を見ながら、少し考え事をしていた。
(僕はいつからこの場所に居るんだろうか...。きた記憶が無いし、元々この人と知り合いだったのだろうか。)と考えていると、急に頭が痛くなってきた。
「ゔゔ......」
断面的に今までの記憶が蘇ってきたような気がしてきた。
(あっ......あとちょっと...)と思っていた時に、「○○君」と彼女が呼んでいた。
ふと顔を上げると、真顔の彼女がこちらを見ていた。「大丈夫?」と少し冷たい声で言った。
そしたら、今までの記憶達がバラバラと音を立てるような感じで、僕の頭の中から消えていった。
「大丈夫だよ......起こしちゃった?」
と声をかけると、彼女は安心したように「心配だったから」と返してくれた。
そのうち睡魔に襲われて、眠りについた。
彼女が僕の頭を優しく撫でているうちに、意識が遠のいた。
















「ふぅ......危ない危ない。何でいつも思い出そうとするのかなぁ〜。君はずっとここにいるんだよ?
誰よりも、ずっと愛し続けてあげるからね?」
と言って彼の頭を撫でた。

4/8/2024, 11:42:54 AM

これからも、ずっと

「これからも、ずっと
一緒に居るって約束したじゃん...。」
どんなに...どんなに、君に、言っても、
君は目を開けることはない。
「ねぇ...。約束したよね?僕を置いていかないって、指切りして、笑い合ったあの日に。」
君の頬を撫でても、君は僕の方を見ない。
僕は棺の中の君の胸元に勿忘草を置いた。
「君と僕が好きって言ってた、花だよ......。
もう、もう......一緒に、つむことは無いけど、君の事ずっと忘れないから」
そう言って僕は、君から離れた。

4/8/2024, 3:48:37 AM

沈む夕日

また今日が終わってしまう。
そう思いながら夕日を眺める日々。
沈む夕日を見ながら、いつもため息を漏らす。
明日こそ上手く生きられますように。
いつもそう願いながら、夕日を眺める日々。

4/4/2024, 10:40:00 AM

それでいい

ただ貴方が欲しかった。

本当に、心から貴方が欲しいと願った。

貴方が私の方に向いて欲しかった。

たったそれだけなのに......。

何かを代償として得たものは

貴方ではない何かだ。

本当の貴方は私ではなく

他の人を選んだ。

私の努力は無駄だった。

貴方好みの人に成りたくて

血が滲むような努力をした。

だけど

貴方は

私の事なんて

どうでもよかったらしいね。

じゃぁ

救われなかった私を

救ってくれる

人なんて

現れると思う?

4/3/2024, 11:15:31 AM

1つだけ

パチッ......。
身を覚ましたら、知らない場所で眠っていた。
暗くて冷たいタイルの上で寝転がっていたらしい、体が痛い。
(此処は私の知らない場所。確か私は自宅のベットで眠っていたはず......。)
見知らぬ場所に居るからだろうか、今日は妙に頭が冴えている、その為落ち着いて情報を処理出来る。
そんな事を考えていると、コツコツ...と足音が聞こえてきた。
怪しいヤツが来たと思い、臨戦態勢で相手を待っていた。曲がり角から長い長い影が伸びて来て、私が居る所まで来ようとする。
ここで油断したらやられると思い、何時でも逃げれるよう逃げ場を考えていると、ヤツがこちらにやってきた。
其奴は手にはランプを持っており、ほのかに周りを明るく照らしていた。
其奴は私を見ると、私の前まで行き立ち止まって言った。
『お前はなんでこんな場所に居るのだ。』と低い声で私に尋ねた。
私は其奴に言った。
「知らないよ。目が覚めたら、こんな所にいたんだよ。」と強気で言ってやった。
『......』としばらく其奴は黙っていた。
私は其奴がなんて言うか待っていた。
おかしな事を言い出したら逃げ出さないと、と。
『お前には欲があるようだな。』
なんて其奴が言うから、私は暫く固まっていた。
(何を言っているんだ此奴。)なんて思っていると、其奴は私の心を読んだのか、私の思っている事をそのまま口にした。
私はだんだん其奴にイライラしてきた。
顔は暗くて見えないし、喋り方もムカつく。
私は意を決して、其奴からランプを奪い取って顔を見てやった。
其奴は眩しそうにしていたが、私は驚きのあまり持っていたランプを落としてしまった。
其奴は黒い服を着ており、頭にはツノ、下の方には尻尾を生やしていた。
(“悪魔”だ!)なんて思っていると、其奴は私に言った。
『私は悪魔だ。お前の欲望を叶えに来たのだ。
ただsh...』
私の欲望?何を言っているか最初は分からなかったが、無料で叶えてくれるのなら言おうではないか。
私は悪魔が最後まで言い終わる前に言った。
「私の欲望を叶えてくれるのだな?
じゃぁ、私の願いは......」
















気がついたら、目の前が真っ暗になっていた。














『やれやれ......。
やはり人間は欲にまみれすぎているようだな。
1つだけ叶えてやると言おうとしたのにな。』
悪魔は、転がっている2つに別れてしまった其れを見てその場を後にした。

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