懐かしく思うこと
とある青年が言っていました。
《昔を懐かしく思うことは、いい事だよね。
だって忘れたい記憶もあると思うけど、その分いい思い出もあるんだから。
昔に戻りたいとか、やり直したいって思っても、無理な事は分かってる。
だけど、昔の出来事があるから今の僕たちが居るんだよ。》
そう青年が言っていたことを思い出した。
(あの時の青年はどうしているかな。)
そう思っていると、私の大好きな彼がいつの間にか隣に立っていた。
私の視線に気づくと、彼は私に向かって微笑んだ。
なんだか懐かしいような....。
私が「__ってあの時の青年だった?」と言っても彼は「なんの事?」って答えるだけ。
(結局誰だったんだろうか)
そう思っている私の横で彼は、
微かに笑ったような気がした。
もう一つの物語
僕の物語は一つしかない。
今生きている人生しか物語がない。
失敗続きの人生は飽きてきてしまった。
完璧な自分は空想の中でしかいない。
美人でスタイルの良い、頭が良く、恵まれている国、最高な友人........。
欠けたところのない完璧な自分でいる、空想上の自分が羨ましい。
現実の自分なんて真反対の人間だ。
こんな自分がいつも嫌いだ。
だから空想上の自分だけは、《完璧》でいたい。
暗がりの中で
僕の人生は
先が見えない程の暗闇が広がっていました。
工夫しても 失敗。
人助けをしても 失敗。
何をやっても 失敗。
失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗失敗....。
もう何をやっても失敗するんだったら
何もしたくない。
と思っていたら
君が僕に手を伸ばしてくれた。
何も取り柄がない僕と沢山の取り柄がある君。
君が僕をこの暗がりの中で
僕を見つけてくれた。
僕は君の手をしっかり握り返した。
紅茶の香り
彼女は久しぶりの休暇を取った。
最近仕事ばかりしていたそうだ。
何もすることがない彼女は、街中を散策する事にした。
書店、洋服屋、アンティークショップ、フォトショップ....、色々な店が所狭しと並んでいる。
彼女は何となく違うなと思っていた。
しばらく散策していると、良い香りが広がってきた。それは紅茶の香りだった。彼女は紅茶が好きなので、香りだけでもどんな紅茶なのか当てることが出来た。
彼女は、香りにつられてカフェに入っていった。
カフェに入り、店員に紅茶とシフォンケーキを注文した。
彼女は届いた紅茶を1口飲んだ。
しばらく紅茶を飲んでいなかった彼女は、紅茶の風味を楽しんだ。
ふと彼女は昔の恋人の事を思い出した。
自分の好きな紅茶を淹れてくれたな、と思い出に浸っていた。
彼女は紅茶とシフォンケーキを十分楽しんだ後、会計を済ましカフェを後にした。
愛言葉
付き合って5年経った恋人たちのお話です。
2人は大学生の時から付き合っていました。
今日は2人が付き合って5年目の記念日だそうです。
彼女は仕事が早く終わり、いつもより豪勢な料理を
作って彼の帰りを待っていました。
彼は彼女が好きな薔薇の花を買って帰りました。
彼の手の中には9本の薔薇の花がありました。
彼女は玄関の戸が開く音がして、彼を迎え入れました。
彼は彼女に買った薔薇の花を渡しました。
彼女は嬉しそうに薔薇の花を受け取ると、すぐに花瓶に薔薇を生けました。
黄色い薔薇とダークピンクの薔薇が、彼女の手で生けられるのを彼はずっと見ていました。
2人は彼女の手作り料理を食べた後、ゆっくり長い夜を過ごしていました。
ふと彼が彼女に言いました。
「ずっと貴方と一緒に、
この先も歩み続けたいです。」
黄色い薔薇《愛》
ダークピンクの薔薇《愛を誓います》