たやは

Open App
1/12/2025, 10:47:55 AM

あの夢のつづきを

覚えていないことも多いけど、毎日いろいろな夢を見ているはず。夢占いなんてあるくらいで見る夢によって意味があるという人がいる。
楽しい夢を見ていると急に目が覚め、起きたら忘れることが多々ある。小さい頃は、楽しい夢のつづきが見たくて忘れてしまわないように慌てて寝た事があるが、夢のつづきを見る事はできなかった。
「夢のつづき見たかったなぁ」と子供心に残念に思った事がある。

大人になっても夢のつづき、いや、同じ夢を見ることはない。人間の脳の不思議だろうか。どうせなら幸せな夢が見たい。

1/12/2025, 1:10:58 AM

あたたかいね

「今日は寒いよね。何か温かいもの食べて行かない。」

「いいな。そうしようぜ。」

会社を定時に出て、私も恋人の剣斗と寒さをしのげるお店を探しなから繁華街を歩いていた。繁華街を5分ほど歩くと小さな屋台の赤ちょうちんが見えてきた。

「おでんだって。屋台でおでんにしようよ。」

剣斗の返事を待たず、私は屋台の暖簾を
くぐりイスに座った。

「いらしゃい。」

屋台のおじさんがおしぼりを2つ渡してくれる。

「おい。急に走るなよ。別の店にしょうぜ。屋台なんて寒い。」

「なんで。いいじゃん。おでん食べたらあたたかいよ。剣斗も座りなよ。おじさん、私は大根と玉子。あと熱燗2つ。剣斗も熱燗出いいでしょ。」

「はいよ。お兄さんはおでんはどうする」

「イヤ。俺は…」

「ちょっと。なに。剣斗。後で別の所行けばいいでしょ。とにかく1軒目はここ。」

剣斗は渋々ながら屋台のイスに座った。
屋台は、繁華街から一本道を入った路地にあり、屋台に3つのイスと屋台の前には小さいなテーブルが1つ、イスが4つ置いてあった。そのテーブル席には女の人が2人座っていて、1人は20代。もう人は少し年上のようだか着物姿だった。珍しい。寒いのに着物は大変だぁ。

「はいよ。お待ち。大根に玉子。それと熱燗置くよ。熱いから気をつけてな。」

目の前のおでん鍋から取り出された大根と玉子ば湯気が立ち昇り、熱燗と合いそうて食欲をそそる。

「ひっ!」

隣りの声に驚いて振りむくと恐怖に顔歪めた剣斗がイスからガタガタと立ち上がり、そのまま走り去って行った。

「え!?ちょっと剣斗!」

「何に見えたのかねぇ。こわい。こわい」

「ん?」

「いいや。なんでもないよ。おでんが冷めちまうよ。お姉さん。」

「ああ。すみません。私は頂きます。」

うっま!この大根、出汁が染み込んでいて美味しい〜。また熱燗に合うし熱燗が体を温めてくれてポカポカしてくる。
こんなに美味しいのに帰るなんて。剣斗はもったいないことしたよなぁ。

「お姉さんはここ始めて。」

テーブル席のお客さんが話しかけてきた。

「はい。そうです。でもおでん美味しくて常連になりそう。」

「そうてしょ。美味しわよね。」

私は、そのあともおでんをツマミに熱燗を何杯か飲み、お姉さんたちと何気ない会話していい気分で屋台をあとにした。

「あの子。どっかで見たことあるわね。」

「鶴の湯の孫でしょ。」

「そう。銭湯の子。銭湯の番台さんも私たちが見えるから、孫のあの子も私たちに違和感を感じなかったのね。
オヤジさんのおでんは心で見るものだから、人によっては気持ち悪くて食べものには見えてないのよね。あの男の人は心が膿んでるてしょ。顔が良くても成功はしないわね。」

「あの兄ちゃんにはおでんが何に見えたのかねぇ。本当に。」

「ちょっと!姉さん!首が伸びてるわよ。オヤジさんも顔無くなってるてるから。」

「おっと失礼。口がなけりゃあ、おでんの味がわからなくなるな。それにしても寒いねぇ。このあと鶴の湯に行くか。遅くなら妖怪の時間だろうし、お湯であたたまりたいねぇ。」

「そうね。銭湯いいわね。」

これは、私がおじいちゃんの鶴の湯を受け継ぐ少し前の話し。
剣斗とは、この日を境いに別れたけど未練はない。今は会社も辞め、鶴の湯の番台に座って、たまに閻魔さまの仕事を手伝っている。顔なじみの妖怪さんたちも増え楽しくやっている。
オヤジさんの美味しいおでんが私を呼んでいるから、また、あの屋台にも顔を出さないとね。

1/10/2025, 11:14:28 AM

未来への鍵

鍵穴がどこにも見つからない。天井、壁、クローゼットの扉、玄関、トイレの戸、台所の戸棚、どこを探しても鍵が入る穴がない。どこ?どこ?どこなの。
鍵があっても差し込む鍵穴がなければ、未来への扉を開くことはできない。
未来が分かれば、今から正しい選択をしていくことができる。たとえ、望まない未来であっても変えてしまう事ができる。

なのに鍵穴がない。

どこ。とこなの。

クローゼットの中にスーツケースを見つけた。これにも鍵穴がある。試してみよう。

カチャ。

うそ。開いた。
スーツケースの蓋を開き中を覗いて見るが暗くてなにも見えない。もう少し奥までと頭をスーツケースの中に突っ込んでみる。

あ!

スーツケースの中に頭から落ちてしまった。体ごと落ちたのに衝撃がなく、ふわっと浮いているようだ。
くっ苦しい。これは水。水の中に落ちたみたい。早く上に上がらないと酸素がなくなる。上に向かって泳ぎだすが、泳いでも泳いでも浮上できない。
苦しい。意識が…。

未来は誰にも分からないもの。未来は今を生き作っていくもの。
未来への鍵があっても安易に未来の扉を開けるのはオススメできません。

1/9/2025, 12:20:25 PM

星のかけら

願いごとを叶えたいなら星のかけらを集めてみよう。たくさん集めれば、お星さまが願いを叶えてくれるよ。
娘のミチルの大好きな絵本の主人公の決めゼリフだ。

「パパ!星のかけらを集めるとお願いごとがなんでもかなうの。」

「そうだね。ミチルはお願いごとがあるのかな。」

「うん。ミチルの病気が早く治って遊園地に行けますようにってお願いしたいの。」

「ミチル…。」

「星のかけらがなくてもミチルの病気は良くなるわ。だって、ミチルは痛い注射も頑張って、苦いお薬も飲んでいるもの。大丈夫よ。ねぇ。パパ。」

「ああ。そうだ。ママの言う通りだ。ミチルは良くなる。」

「でもミチル、星のかけらが欲しいよ。遊園地に行ってプリンセスに会いたいの。」

病気が治ったあとのミチルの夢だ。できることなら叶えてあげたい。

「遊園地にはパパとママとミチルの3人で行きましょう。ミチルもプリンセスの服を着ればいいわ。きっと可愛いわよ。」

「プリンセスの服着ていいの。ママ!」

ミチルはひまわりのような明るい笑顔を私たちに向けた。これがミチルの笑顔を見た最後だった。
2カ月後にミチルは本当のお星さまになった。ミチルは自分がお星さまになったらパパとママにたくさん星のかけらを降らせてあげると言っていた。
ミチルが降らせてくれた星のかけらを集めてパパとママは何を願ったらいいのだろう。ミチル。私たちの優しい娘。パパとママの娘に生まれてきてくれてありがとう。

またいつか、3人で暮らせる日が来るように星のかけらに願ってみようか。
それまで少しだけ寂しい思いをさせてしまうが待っていて欲しい。

1/8/2025, 10:42:37 AM

RingRing...

りんりん。虫の声。
冬はほとんど虫を見かけない。秋なら鈴虫かな。昔、京都の鈴虫寺に行ったことがある。たしか、どんな願いも叶えてくれる草履を履いたお地蔵さんがいたような。
お寺の中は本当に鈴虫がたくさんいて鳴いていたのを覚えている。

りんりん。電話の音。
今の電話(スマホか)はりんりんなんて鳴らない。実家で使っていたダイアル電話はりんりん鳴っていた。結構、大きな音で家中に響き渡り、毎回驚いていたのを覚えている。

りんりん。これリング、リングかなぁ。
リングはもちろん指輪。
指輪はほとんどしてことがない。どちらかといえば、仕事や家事の邪魔になる。
たけど、たまにはネイルを綺麗に塗って指輪をしてみたい。手が綺麗な人って憧れるなぁ。

RingRingって結局は何だろうか?

Next