君からのLINE
定時に仕事が終わり、帰宅するためにバスに乗る。バスは混んでいて座ることはできないが、駅までならそれほど時間もかからない。駅前のバス停でバスを降りると君からのLINEに気がついた。
「ビールない。買ってきて。」
それは一大事。宅飲みできるビールがなければ今日1日が終わらない。仕事の疲れがあっても、コンビニに寄ってビールを4本買ってから帰る。
君からのLINEに気づいて良かった〜。
気がつかなければ、今日はビールなしになるところだった。
良く冷えたビールを飲み、君の作った料理を食べ、僕の1日はゆっくり、ゆっくり終わっていく。
小さな幸せ。
バンザイ。
命が燃え尽きるまで
命が燃え尽きる。
それは死を意味するのだろうか?
時間とともに誰にでも平等にいつか訪れるもの。
命が燃え尽きるまで、ずっと戦い続けるのは辛いから時々は休憩しながら、あなたと2人で静かで穏やかな生活をその時が来るまで送っていきたい。
夜明け前
夜勤が終わる夜明け前。
身体的にも精神的にも自由になるまであと少し。やっと解放される。
頑張れ。頑張れ。
と自分に言い聞かせ、朝日を眺めながらボーとする短い時間。
昨日の夕方からひっきりなしに聞こえてくるサイレンの音。救急車かパトカーか、はたまた消防車か。このサイレンは運命の別れ道だ。
プルプル〜
◯◯救急です。交通事後の方で右足に痛みあります。足を動かすと痛みが強くなるため、一時的に固定をしています。
バイタルは…。
こんな入電ばかりだ。
夜間は本当にいろいろな人がやって来る。
鼻血が出て止まらない。お腹が痛い。
手をスライサーで切った。子供の熱が下がらない。お風呂で転倒した。
重症者から順番に診ていくが、待つのは辛く苦情も多い。苦情対応も仕事の1つだ。
それでも、「夜中に悪いねぇ。ありがとう」なんて言葉を貰えれたら「これからもがんばろう」と思える。自分って割と単純だ。
緊張の連続で責任重大な仕事だけど、その分やりがいのある仕事だ。
本気の恋
走る。走る。走る。
捕まったら殺される。逃げなきゃ。
私と八十吉さんは手に手をとって冬の夜道を走りだす。手足が凍えるように冷たく、上手く力が入らないが立ち止まるわけにはいかない。遊郭からの足抜けは重罪だ。
でも、あなたがいれは大丈夫。このまま命が尽きたとしてもあなたと一緒ならどんなことがあっても大丈夫。
だから手を離さないで。
これは最初で最後の本気の恋だから。
「足抜けだー!」
たしかに、お前は花魁を務めるくらいのいい女だ。それでも、お前を身請けするには店を潰すほどの金がかかる。親から受け継いた店を潰すわけにはいかないし、お前と心中なんてできるわけがない。まだ死にたくない。
遊郭からの足抜けは重罪だ。
だから、手を振り払う。
お前が勝手に足抜けして池に落ちた。
ただそれだけた。俺には関係ない。
カレンダー
仕事に疲れた。上司は自分のミスも部下に押し付ける。同僚は自分の仕事が終れば、さっさと帰る。私たちはチームで仕事をしているはず、私には助けを求めるのにその他は知らん顔。こんな理不尽な仕事やってられない。
なぜ家事は私だけがやるのか。夫は家事を一切やらないくせに子供の成績には口を出してくる。やれ塾に入れろ、お前の教育が悪い。お前やれと毎日思う。
そんな時は、テニスの熱いレジェンドの日めくりカレンダーをめくってみる。
カレンダーをめくれば、だいたいのことはどうでも良くなる。そんなに深刻に考えなくてもいいと思えてくる。
やっぱりレジェンドは偉大だ。