たやは

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7/27/2024, 11:59:41 AM

神様が舞い降りてきて、こう言った

「あーあ。いいなぁ~」

ここは神様が住まわれている世界。
神様はここで、人間界の秩序を守るために仕事をしながら暮らしている。

「か、神様〜! 神様はどちらにいらっしゃる。お前たちが着いていながら行方が分からないとはどういうことだ。」

神様はいつものように昼すぎに私室に戻り休憩を取っていたが、時間になっても姿を見せないため、従事の一人が様子を見に行ったが部屋はもぬけの殻だった。
慌てた従事が従事長に報告、従事長が騒ぎだし神様が行方不明だと大騒ぎとなった。

その頃、神様は人間界を覗いていた。なぜ覗いていたかと言えば、人間界から笛や太鼓、人間たちの声が聞こえたからだ。

祭りだ。

祭りと言っても盆踊りに縁日、七夕、お囃子やお神輿、夏祭りに秋の豊作祈願祭など、数え切れないほどあるが、神様が見ていたのは、小さな村の稚児舞。
稚児舞は、神事の場で演じられる踊りで5才から7才くらいの子供たちが伝統を引き継いでいく。
神様は子供たちが自分に奉納するために毎日、毎日一生懸命に練習していることを知っていた。
そして今日は子供の晴れの舞台だ。
あんなに練習していたのだから大丈夫、必ずやり遂げられると神様は信じていた。
そう、今日は仕事などしている場合ではない。あの子供たちの成果を見届けなければならない。

上手い! 上手い! そうだ。そうだ!

神様は身を乗り出し神事を見ているうちに人間界に降りて来てしまった。近くで見る稚児舞は子供たちの熱気に溢れ、見ごたえもあったしお囃子に合わせて踊る姿は皆が立派な舞踊家のようだった。

「あーあ。いいなぁ~。みんな上手く踊れているじぁないか」

稚児舞を見終えて戻ってくれば、従事長からさんざん怒られたが、「来年も見に行ってみようかな」と神様は今日見た稚児舞に心を寄せていた。

きっと来年も神様は人間界を覗き見しているはず。


7/26/2024, 3:22:59 PM

誰かのためになるならば

日々の生活が自分のことで一杯な私にとって誰かのために何かをするなんて、なかなか難しい。
誰かのためになるならば自分を犠牲にしてもやり遂げる。なんて無理だ。
漫画の世界の話しかな?

イヤ!

この前見たバレーボールの国際試合で献身的にボールを拾い続けるリベロは、アタッカーが点数を取るため、ひいてはチームが勝つために体を張ってレシーブをいていた。
チームのためになるならば、どんなに強烈なサーブも高い位置から叩きつけられるスパイクもふっ飛ばされながらも拾う姿はまさに自己犠牲。

ちよっと違う気もするがバレーボールの試合を見て感動したのは事実で、感動した理由はお互いの力を信じてボールを繋ぎ、攻撃参加はしないがチームを支えたリベロがいたからだと思う。

地味なポジションでも重要なポジションのリベロ。私も縁の下から誰かを支えられるようになりたい。

7/25/2024, 1:09:21 PM

鳥かご

東南アジアの都市に旅行に行ったとき、お土産物屋さんに置いてあった鳥かごを自分用に買った。鳥も飼っていないのになぜか欲しかった。
その鳥かごは、日本の空港の税関で袋から出し中を改められる位の大きさがあり、スーツケースの上に乗せて運んだが、自宅に着くころには買ったことを後悔していた。

自宅のリビングに鳥かごを置く。
東南アジアの町角でよく見る竹でできた鳥かご。アンティーク調でクラシカルな雰囲気もあり、現地で見た時よりもインテリアとして問題はない。

鳥かごを見ているとあの東南アジアの町並みが思い浮かび、鳥かごを作ることで生計を立て、たくましく生きている彼女たちの笑顔が忘れられない。

鳥かごは鳥を閉じ込めて飼うためのかご。

でも、鳥かごを作る彼女達は鳥かごを通して日本や世界とつながりを持ち、視野を広げて飛び立つ機会を得ようとしているのかもしれない。

自分用に買った鳥かごだけど、良い買い物をしたと思っている。

7/24/2024, 1:03:24 PM

友情

幼い頃、兄についてスポーツクラブに行ったときに、初めて彼女に出会った。彼女はその頃から才能があり、県代表、日本代表、そしてオリンピック代表へと成長して行った。わたしは、彼女と同じスポーツをしていたが同じレベルに行くことはなく地元の仲間の1人だったけど、なぜか彼女とは気が合い、スポーツクラブの帰りに一緒にアイスを食べたり、彼女の家に遊びに行ったりもした。

そんな彼女とも、彼女がオリンピック代表になる頃にはテレビで彼女を応援する程度には疎遠となっていた。それでも彼女は地元のスターであり、わたしの憧れだったし、誇りてもあった。

つき日は流れ、彼女がオリンピックから帰ってきて2年が経つ頃には、彼女も競技でのピークが過ぎ引退の文字がちらついくほど追い詰められていた。
ある夏の日、わたしに突然彼女から電話がかかってきた。

「私。引退する。あなたには私の言葉で直    接伝えたくて。」

その3日後に彼女は本当に引退した。

彼女のこれまでの競技人生は栄光や挫折、楽しさや苦しさが入り乱れ、わたしには想像もできないものだったはずた。
でも、引退したこれからの人生は、彼女にとっては未知なる平凡な人生となるはず。
平凡な人生を歩んでいる友達としてズッ友でいたい。

大丈夫。平凡な人生だって楽しいことも辛いこともたくさんあるけど、私達の友情を持ってすればどんな人生だって最高の人生とすることができる。

私達の友情がズッ友である限り大丈夫!

7/23/2024, 5:12:43 PM

花咲いて

小学生の頃は、田舎のおばちゃんの家に遊びに行き、そのままずっと田舎にいることが夏休みの恒例となっていた。
田舎では川に行き、橋の上から川に飛び込んだり、従兄弟達と花火もやったし、スイカを食べ、良く遊び、笑い、40日近くあった夏休みを謳歌いていた。
そんな夏休みの一番の思い出は、ひまわり畑の迷路だ。自分の背丈以上もあるひまわりが何万本と咲き乱れ、正規のルートを覆い隠す。歩いている道の角を曲がった先も見えない状態だ。
この迷路は、花が咲いていないと緑の草木のな中を歩いていくことになり、いまいちパッとしない。なんなら虫がでたり、地面がぬかるんでいるのが気にだしたりとかなりハードだ。
だか、黄色の大きな花が顔を上げると燦々と輝く陽の光に照らされ、鮮やかに咲くひまわり畑は黄金の海となる。
私達は、黄金の海に出た海賊だ。財宝を求め航海に出れば、ひまわりが行く手を塞ぎ迷路となる。


まさに花が咲いて巨大迷路が完成する。

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