身体にも心にも収めておけないこの愛を
どきどきして、わくわくして、ちくちくして、ふわふわして、いらいらして、ずきずきして、きゅんとして、ざわざわして、はらはらして、うっとりして、ぎゅっとするこの感情を
あなたに どうか
届きますように / 届きませんように
【big love!】
星明かりを見上げていた。
春めかしいなま暖かさが肌をすべり抜ける。
木々に萌える若葉達のざわめきが鼓膜を揺らめかせる。
視界の端に灯る街灯を掌で隠し、目に入れる光を夜空の星々だけに限定する。
ちかりちかり、ゆらりゆらり、ぱちりぱちり、きらりきらり。すべての星が、気の赴くままに瞬く。
――するときみは、どの星もながめるのが好きになるよ。
――人間はみんな、ちがった目で星を見てるんだ。
ふと、過る。想像上の柔らかい声が紡ぎ上げる、幼い日の記憶。
きみの家は、どこだろうか。
波風立たない、穏やかな感情のまま。
ふ、と笑みを引くため息がこぼれた。
【星明かり】
(引用:星の王子さま)
背表紙を 栞片手に ついと引く
風吹いて 舞うさくら色 張るランウェイ
額縁に 後から飾れ まず一閃
【物語の始まり】
(本棚から本を引き出す瞬間に)
(いつも見頃を越えた花弁は道を作ってくれる)
(原稿用紙に、まずは一文字)
君を飾る 桜の下の 染模様
片陰を 求めて歩く 家路哉
ふくふくと 紅葉と踊る 影ふたつ
解けるなと 幼き願いと 雪だるま
【日陰】
春夏秋冬の日陰
幕落ちて 誘うは夢と 舞うスピログラフ
(意識が落ちるまでの瞼の裏はなんとなく綺麗)
熱を持つ 涙は春を 誘い出す
(おもいっきり泣くのも良いものよね)
瞳をとじて 蒲団に縋る 冬の朝
(これだけ「めをとじて」。毎朝の己との攻防戦)
息を吐き 瞳をとじて 頬緩み
(隠しきれない恋患い)
小劇場 わたしの世界が ここにある
(想像に敵うものなし)
【瞳をとじて】
小学生の頃から俳句が好きでした。小林一茶推し。