『星空の下で』
星空の下で、星を食む。
「まって、これ地球じゃない?」
「地球って星だったんだ……」
○○○
人間は宇宙に進出することを覚えた。
日本、中国、ロシア、アメリカ……過去に存在した国は、別の名前に置き換わっている。
宇宙の只中で、まるで一つの惑星が、海に浮かぶ孤島の群れのような扱いをうけるなか、人々は僅かな人口で細々と生きていた。
そんななか、流行っているブームがある。
——星を金平糖にして、食むことだ。
僕と友人も、その流れに乗って、星を食むことにした。
この宇宙には、多くの星が存在する。
星に対して、人類の数はあまりにも少なすぎた。
まるで田舎の家だけはあるが人は居ない、そんな空き惑星ばかり。
人の手を入れていない惑星は、ボロボロになってしまう。
だから、食べることで、消化するのだ。
「この星はカニミソ味だよ」
「え、本当に? ……うわ、本当だ。あ、こっちはいちごミルク!」
「えー? ! 確かに、いちごミルク!! 懐かしいー!」
「ね! イチゴが訳あって絶滅してから、かれこれ二百年は食べて無かったもんねー!」
そんな風に、僕らは星を食むことを楽しんでいた。
……そして、うっかり地球を金平糖にしてしまったのだ。
「どうしよう、流石に不味いよね」
「まあ、うん。でも、しちゃったものは仕方なくない?」
「確かに。今更元に戻すことも出来ないか……」
「あとで怒られるとして、食べちゃおうよ!」
「えー? いいの??」
「だって、味が気になるじゃん!」
「……確かに!!」
僕らは一緒に、地球を食んだ。
!!
……なんと地球は、たこ焼き味だった。
なんでやねん。
おわり
『それでいい』
夢とは叶わないものだ。
だが——それでいい、それがいいのである。
もしも叶ってしまえば、そんな残念なことは……この世に一つとして存在しないだろう。
○○○
二人の画家志望の若者が居た。
適当に、名前をミギと、ヒダリと呼称する。
ミギは堅実な男で、毎日毎日、画家になるための練習を重ねた。
ヒダリは自由な男で、気が向いたときしか筆を取らなかった。
二人の性格はたいそう反対だったが、ウマでも合ったのか、なぜか二人は仲が良く、お互いの将来について、よく語り合った。
ミギ「画家になったら、僕は見た人の心を感動させるような絵を描きたい。僕は昔、人生に絶望し自殺しようとしていたが、とある絵を見てやめたんだ。そしてもう一度生きようと思えた。絵ってのはスゴイ。僕もそんな絵を描ける人になりたい」
ヒダリ「俺は画家になったら、大金を稼いで毎日女を侍らせて取っ替え引っ替えしたいぜ。なぁに、今の俺はチンケな場末の絵描き見習いの一人に過ぎないが、今に世界に名を残すビッグスターになってやる。そんで、俺を見下してきたヤツらを見返してやるんだ。だが、今のうちに俺を大事にしてくれたヤツにはちゃんと恩返しする。ミギ、お前の事だ。幸福もんだな、お前は」
ミギとヒダリはお互いに、理想の自分像を語り合った。
ミギはロマンティックな男で、逆にヒダリは俗物的な男だった。
二人は全く反対の思想を持っていたが、それを武器としたお互いを責め立てることは無かった。
そういう考えもあるのか、そう思いながら自分の考えを曲げす、ただお互いの未来について、語りあった。
あるとき、ミギが大成した。
テレビメディアや新聞、SNSのネットニュースで、彼の名前を見ない日はない。
そんな、かなり有名な存在になった。
つまり、もう画家見習いなどではなく【画家】という生き物になってしまった……ならざるおえなかったのだ。
そんなミギを見て、ヒダリは一人、涙を目に浮かべた。
そして、何も言わずに仏花の白い菊の花を手配した。
ヒダリは未だに売れていない“画家見習い”で、自由に出来る金額は少なかったが、自分の人生の唯一の楽しみといっても過言ではない酒代を削ってまで、花を用意した。
あるとき。
憔悴した顔のミギと、ヒダリは会った。ミギがいきなり家に訪ねてきたのだ。ヒダリは死人でも合うような気持ちで迎えた。
ミギは一言「君は【画家】になんてなるな」そう言い、
ヒダリは固く噛み締めた唇を開き言った「そんなことは、ずっと前から分かってる」
そして、家の片隅に供えるようにして枯れた、仏花の白い菊の花だったものを、彼に手渡した。
ミギは、淡く微笑むと、枯れた一輪の白い菊の花を、まるで薔薇の花を受け取った告白された小娘のように頬を染めて宝石のような涙をひと粒零し、何も言わずに去っていた。
ヒダリは、そんなミギの姿を、何も言わずに黙って見送った。その拳は固く、固く、血が出るほど握りしめられていた。
後日。
ミギが自殺したと、風の噂でヒダリは聞いた。
ヒダリはその日も、画家になりたい、いや俺は画家になるんだ。そう口では言いながらも、筆を取らず酒を飲んでいた。
ただ、酒の2杯ほど頼み、今は語り合うことが出来なくなった唯一無二の友に捧げた。
○○○
夢とは叶わないものだ。
だが——それでいい、それがいいのである。
もしも叶ってしまえば、そんな残念なことは……この世に一つとして存在しないだろう。
何故ならば、夢とは違い現実とは、醜いものだからである。
恋とは片思いしているうちが華とはよく言ったもので、両思いになって結ばれたとたんに相手のイヤなところが見えてくる。
夢を追っているうちはキレイな部分だけ想像して満足出来ていたものが、途端にしなければいけない作業になり、やりたくもないことを否応無しに押し付けられる。
何故ならば【画家】というのは、称号ではなく、仕事だからである。
仕事とは、やりたくもないことを、やって金を稼ぐものなのだから、醜くて当然なのだ。
理想が高ければ高いほど、夢を見て入れば見ているほど、現実知ったときのギャップは激しくなる。
——だから、人が死ぬのは当然なのだ。
ヒダリは、酒を1杯、ぐいっと煽るようにして飲んだ。
そうしなければ、やってられなかったからである。
おわり
……長くなってゴメン。
『1つだけ』
1つだけ、確かな事がある。
うっかりミスって文章飛ばすと、めちゃくちゃ萎える。
次回作にご期待ください。
おわり
『大切なもの』
それは時間と感受性なり。
おわり!
『エイプリルフール』
今日は嘘をついて良い日だ。
しかし、訳あって残り時間は十秒。
……咄嗟に吐いた嘘は、真となった。
「俺、実は勇者なんだよね!!」
「……は?」
泣きそう。
○○○
バインバインの良いスタイルを、持ったクールな幼馴染が居る。文武両道で学力テストで一番上を飾り、竹刀であらゆる敵をしばき倒し、バインバインにつられた男子を鋭い毒舌で心を串刺しにして死体の山を築き上げる女猛者だ。
ちなみに頭からは山羊のような立派な角が生え、肌はブルーベリーような青紫色だ。
そう、立派な人外。魔族を纏める王、魔王のひとり娘である。
そんな彼女と俺は、産まれた病院が同じで、母親同士が仲良くなったというだけの幼馴染だ。
今でも一緒にドーナツとか食べたり、母さんが作りすぎた筑前煮とかをお裾分けに行ったり、一緒にバーベキューとかする仲ではある。
——咄嗟に吐いた嘘、そのお粗末さに愕然としながら帰路につき、家の扉を開ける。
「母さん、ただいま」
「あら、我が息子ちゃんよ。あなたに言って置かなければならないことが、ありんすよ」
「いいけど、母さん。口調どした?」
「いいから黙ってお聞きなさりんしゃい……あなたの父親は先代勇者。あなたは勇者のひとり息子で、つまり——勇者なのでありんすよ」
「母さん、もうエイプリルフール終わったって。嘘吐いていいの、午前中だけなんだから」
「あら、知ってるわよ。だから、話しているのでありんせんこと~??」
「…………は?」
○○○
格式高い和室の一室。
俺と彼女は向き合っている——勇者と魔王として。
「レディース&ジェントルメェーン! これから、勇者と魔王のお見合バトルを始めるぜぇー!!!」
まって、本当に意味が分からない。
○○○
ちょっと、所要が出来て、続けられない。おわり