霜月 朔(創作)

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9/15/2025, 7:53:13 AM

君と見上げる月...🌙


社会は酷く残酷で、
容赦無く、異物を排除する。
こんな醜い世の中では、
君の優しさは、
異形でしかなかったんだ。

君の美しい心は、
無惨に罅割れ、
君の清らかな魂は、
傷だらけになっていく。

もう。これ以上、
我慢する必要はない。
だから、最期に、
君が憧れていた、
月を見に行こう。

君と見上げる月。
あんなに見たいと願った、
この風景なのに、
何故か酷く哀しくて。

細く儚い三日月が、
消えてしまいそうに、
見えるのは、
私の涙の所為なのか。

寄り添う君の温もりが、
まだこの世に居る証。
最期の希望に縋る様に、
そっと君の手を握る。

残酷な世間は、
私達を排除したが、
月だけは、こんな私達を、
赦してくれる気がする。

だから…。

この世から立ち去り、
君とふたり、彼方で、
幸せに笑おう。
向こうの空にも、
美しい月が浮かぶだろうから。

9/14/2025, 7:31:12 AM

空白




空は高く青く、
少しだけ涼しくなった風が、
草を葉を、揺らしてゆく。

お前と居た頃は、
美しいと思った、
季節の移ろいも、
今はまるで心に響かない。

お前がこの世を去って。
俺の感動も感情も、
全て空白。

俺の身体は、
ただ、心臓が動いているだけの、
マネキンのよう。

お前が生きていない、
この世に、独りきりで、
生きていたって意味はない。

全て、空白。
心も魂も、空っぽのまま、
只、無為な時を過ごしている。

空白。
何処までも、空白。

俺の魂は、空白のまま、
この世を彷徨っている。

9/13/2025, 6:58:29 AM

台風が過ぎ去って

9/12/2025, 7:42:34 AM

ひとりきり



ずっと、
私は、
ひとりきり。

悲しげな雨が降る、
静かな夜更け。
貴方は夜の闇を纒って、
私の下に訪れます。

悲しげな瞳を隠す、
微笑みの仮面を被り、
傷だらけの心を隠す、
甘い言葉を紡ぐ、
…そんな貴方。

貴方の口から溢れる、
愛の言葉の贈り先は、
本当は、私じゃなくて、
曾て愛し合っていた人。

だけど、私は。
それに気付かない振りをして、
貴方の言葉に、
甘く、優しく、
微笑み返すのです。

そう。私もまた、
眼の前の貴方の姿に、
戻らない恋人の面影を重ね、
貴方の与えてくれる温もりに、
溺れるのです。

貴方の腕の中に居ても。
貴方が愛の言葉をくれても。
私の心は…ひとりきり。

優しい夜が終わり、
無遠慮な朝日が、
顔を覗かせれば、
私と貴方の魔法も解けます。

そしてまた、
私は、
ひとりきり。

9/11/2025, 6:24:15 AM

Red,Green,Blue



空は高く蒼く、
木々の葉は翠に揺れ、
そして…。
貴方の生命は紅くて。

私は、ずっと孤独でした。
人の温もりも知らず、
世の中の色に染まれず、
社会の外で生きてきて。

そんな私に、
救いの手を差し伸べて、
微笑みかけてくれた、貴方。

貴方に出逢って、
空の青さや木々の緑が、
こんなに美しいと、
知ったのです。

私の世界は、
貴方がくれたもの。
私の全ては、貴方のもの。
なのに。
貴方は私だけのもの、
ではなかったのです。

だから。
私は、貴方を世界から奪い、
私だけのものにしました。
鈍色の刃が、貴方の胸を貫き、
貴方も私も朱に染まります。

空は蒼く、木々は翠。
貴方から流れ出る血潮は、
…朱。

あか、みどり、あお。
Red,Green,Blue。
全て混ざれば、白。
…永遠となる色。

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