霜月 朔(創作)

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君と見上げる月...🌙


社会は酷く残酷で、
容赦無く、異物を排除する。
こんな醜い世の中では、
君の優しさは、
異形でしかなかったんだ。

君の美しい心は、
無惨に罅割れ、
君の清らかな魂は、
傷だらけになっていく。

もう。これ以上、
我慢する必要はない。
だから、最期に、
君が憧れていた、
月を見に行こう。

君と見上げる月。
あんなに見たいと願った、
この風景なのに、
何故か酷く哀しくて。

細く儚い三日月が、
消えてしまいそうに、
見えるのは、
私の涙の所為なのか。

寄り添う君の温もりが、
まだこの世に居る証。
最期の希望に縋る様に、
そっと君の手を握る。

残酷な世間は、
私達を排除したが、
月だけは、こんな私達を、
赦してくれる気がする。

だから…。

この世から立ち去り、
君とふたり、彼方で、
幸せに笑おう。
向こうの空にも、
美しい月が浮かぶだろうから。

9/15/2025, 7:53:13 AM