霜月 朔(創作)

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9/27/2024, 4:40:44 PM

通り雨



街で偶然見掛けた、
昔の恋人。
彼の隣には、
優しい笑顔で微笑む人。

絡める様に手を繋ぎ、
親しげに話しながら、
街を歩いて行く。

独りきりで眺めている私になんか、
気付く事もなく、
想い出のあの人は、
新しい恋人と街に消えて行った。

私の頬を、涙が伝う。
もう、忘れた心算だった。
涙なんか疾くに涸れたと思っていた。
なのに、涙が零れ、胸は痛む。

通り雨が降り出す。
さらさらと僅かに音を立てて、
街を、道を、木々を、
そして、私を。
別け隔てなく濡らす。

傘を差すことなく、
街を歩き続ける。
雨粒が、情けなくも涙に濡れた、
私の頬を隠してくれる。
そんな気がした。

止まぬ雨は無い。
そんな言葉なんて、
今の私には、到底、
信じる事は出来ない。

9/26/2024, 5:18:19 PM

秋🍁


冬は、死の季節。
緑は枯れ、葉は落ち、
…そして朽ちる。

そんな冬を前に、
生き物は、秋という季節に、
限られた生を享受する。

秋の赤や黄色に、
美しく彩られた景色は、
まるで、モノクロの冬を迎える前の、
最後の晩餐の様だ。

秋は…美しい。
風に揺れる曼珠沙華、
それは、忍び寄る、
冷たい冬という死の気配。

でも、きっと。
大切な君と一緒なら。
死の国の、地獄の業火さえ、
この見事な、秋の赤の様に、
美しく見えるだろう。

私は、大丈夫だよ。
君が望むなら、
私は、何処へでも、
一緒に行くから。

だから。
繋いだこの手を、
決して、離さないと、
約束して欲しい。

9/25/2024, 6:30:24 PM

窓から見える景色



窓から外を眺める。

この部屋から見える景色も。
廊下の窓から見える景色も。
屋上から見える景色も。
貴方との想い出が詰まってる。

窓から見える景色は、
貴方がいた頃と変わらず、
季節の移ろいを見せ、
その時々の様々な表情を、
見せてくれているのに。

貴方は…もう、居ない。
この世の何処にも、居ない。

貴方と一緒に眺めた、
この窓から見える景色は、
少しずつ、姿を変えていく。
それが酷く哀しくて。

窓から見える景色が
涙に滲んで見える。
そして、俺は。
貴方が居るだろう天に向かって、
そっと手を伸ばすんだ。

9/24/2024, 5:50:42 PM

形の無いもの


貴方が私にくれたもの。

大人として必要な、
一般教養、知識、マナー。
読み書き、計算能力。

社会で生きる為の、
一般常識、生活の知恵。
コミニュケーション能力。

心が傷付かない為の、
ストレス対処法、
アンガーマネジメント。

生活を豊かにする為の、
音楽や美術等の芸術、
スポーツ、季節のイベントの経験。

そして。
沢山の優しさと、
深い…愛情。

貴方が私にくれたものは、
どれもこれも、全て、
形の無いもの…ですが、
とてもとても、
大切なものばかりです。

そう。
ペアリングの様に、
形のあるものでは、
ないけれど。
貴方の愛情に、
嘘は無い筈…ですから。

9/23/2024, 6:10:45 PM

ジャングルジム


何もかも、上手く行かなくて、
全部、嫌になっちゃった時は、
庭の片隅にある、
大きな木に登るんだ。

大人になって、木登りなんて、
誰もやらないから。
此処はボクだけの、
秘密の場所。

公園で遊ぶ子供達が、
ジャングルジムに登る様に、
ボクは、慣れた身の熟しで、
木に登っていく。

高い木の上から見ると、
嫌になった事なんか、
ちっぽけに思えて。
少しだけ元気になれるから。

そして、ボクの足元には。
突然姿を消したボクを、
心配そうに探してる…アイツの姿。

一番早く、ジャングルジムの
一番上迄登った子供の様な、
不思議な優越感に浸って。
ボクは、木の上から、
ボクを探す、アイツを眺めて、
こっそり微笑むんだ。

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