岐路
人生は、選択の連続で。
その選択に、満足したこともあれば、
後悔した事も、ある。
でも。
一番後悔してるのは…。
君が私から去って行くのを、
黙って見送った事。
あの時、私が、
君と別れたくはないと、
恥も外聞もかなぐり捨てて、
懇願していたとしても、
多分君は、私の元を去っただろう。
だけど。
僅かとはいえ、残されていた、
君と共に居られる可能性を、
無碍に捨ててしまった後悔が、
今でも、私を苛むんだ。
人生の岐路。
後悔に塗れた選択。
それは、
君との未来を、諦めてしまった事。
もしかしたら。
もう一つの道の先には…。
君が今でも、
私の隣に居てくれてる未来が、
あったのかな?
世界の終わりに君と
この世界は、着々と、
滅びの日へと向かってる。
それは、人間が抗えない、
大きな『力』によるものらしい。
だけど。
君も、俺も。
この世が滅び行くのを、
指を咥えて眺めてられる程、
達観して無くて。
傍から見たら、
無様で醜いだろうけど、
それでも、
世界を救える可能性があるなら、と。
俺も君も、必死に藻掻いてる。
正直に言えば、
世界が破滅して死ぬだなんて、
…凄く、怖い。
でも。
世界の終わりに君と、
一緒に居られるのなら。
俺は、幸せだよ。
最悪
気が付けば、毎日。
お前のせいで、ボクは、
『最悪!』って、言ってる。
掃除の手抜きをして、
お前に怒られて最悪!
廊下をバタバタ走って、
お前に説教されて最悪!
落ち着きが無いって、
お前に文句を言われて最悪!
毎日、毎日。
ホント嫌になる程、お前に向かって、
『最悪!』って言葉を、
連発してる。
だけど。
漸く気が付いたんだ。
…ホントに最悪なのは。
お前に向かって、
『最悪!』って、
言えないコトだって。
旅行だか、出張だか知らないけど、
早く帰って来いよ!
じゃないと、ボクは。
お前に向かって、
『最悪!』って言えない最悪の日を、
過ごさないといけないんだからな!
誰にも言えない秘密
秘密なんて、
抱えれば、辛いだけで、
誰かに何かを隠そうとすれば、
知らず識らずの内に、
心は傷付くそうです。
ですが。
秘密という言葉に、
何処か、不思議な魅力を感じるのは、
私が、秘密を持つ事さえ赦されない、
まるで家畜同然の半生を、
過ごしてきたからかも知れません。
小さな秘密さえ、碌に持たない私に、
誰にも言えない秘密が出来た時。
私は、どんな想いを抱くのでしょう?
誰にも言えない秘密が、私に齎すもの。
それは、不安?焦燥?辛苦?
…それとも。
地獄への甘美な誘い、なのでしょうか。
狭い部屋
窓もないこの狭い部屋で、
貴方は静かに、眠っています。
まるで、眠れる森の美女の様だと、
溜息混じりに独り言ちて。
私がそっと口付けたとて、
貴方が目覚める事は無く。
あれから。
悠遠の時が流れてしまったのか。
僅かな時しか経っていないのか。
それさえ解らなくなる程に、
私は、ただ。
目覚めぬ貴方だけを見詰めています。
貴方さえ居てくれるなら、
他には何も、要らないのです。
明るい陽の光も、
爽やかな風も、
色鮮やかな草花も、
手を差し伸べてくれる友達も。
そう。
貴方と二人きり。
この暗く狭い部屋の中だけが、
私の世界の全てなのです。