最悪
気が付けば、毎日。
お前のせいで、ボクは、
『最悪!』って、言ってる。
掃除の手抜きをして、
お前に怒られて最悪!
廊下をバタバタ走って、
お前に説教されて最悪!
落ち着きが無いって、
お前に文句を言われて最悪!
毎日、毎日。
ホント嫌になる程、お前に向かって、
『最悪!』って言葉を、
連発してる。
だけど。
漸く気が付いたんだ。
…ホントに最悪なのは。
お前に向かって、
『最悪!』って、
言えないコトだって。
旅行だか、出張だか知らないけど、
早く帰って来いよ!
じゃないと、ボクは。
お前に向かって、
『最悪!』って言えない最悪の日を、
過ごさないといけないんだからな!
誰にも言えない秘密
秘密なんて、
抱えれば、辛いだけで、
誰かに何かを隠そうとすれば、
知らず識らずの内に、
心は傷付くそうです。
ですが。
秘密という言葉に、
何処か、不思議な魅力を感じるのは、
私が、秘密を持つ事さえ赦されない、
まるで家畜同然の半生を、
過ごしてきたからかも知れません。
小さな秘密さえ、碌に持たない私に、
誰にも言えない秘密が出来た時。
私は、どんな想いを抱くのでしょう?
誰にも言えない秘密が、私に齎すもの。
それは、不安?焦燥?辛苦?
…それとも。
地獄への甘美な誘い、なのでしょうか。
狭い部屋
窓もないこの狭い部屋で、
貴方は静かに、眠っています。
まるで、眠れる森の美女の様だと、
溜息混じりに独り言ちて。
私がそっと口付けたとて、
貴方が目覚める事は無く。
あれから。
悠遠の時が流れてしまったのか。
僅かな時しか経っていないのか。
それさえ解らなくなる程に、
私は、ただ。
目覚めぬ貴方だけを見詰めています。
貴方さえ居てくれるなら、
他には何も、要らないのです。
明るい陽の光も、
爽やかな風も、
色鮮やかな草花も、
手を差し伸べてくれる友達も。
そう。
貴方と二人きり。
この暗く狭い部屋の中だけが、
私の世界の全てなのです。
失恋
誰かと付き合って、別れる。
そんな事は、何度も経験してる。
失恋なんて、そう珍しい事じゃない。
でも。私にとって失恋は、
世間が言う程、辛く無かったし、
苦しくも悲しくも無かった。
有るのは、ほんの僅かな喪失感。
それさえ、直ぐに消え失せる。
だけど。
今度は、違った。
君が私の隣から居なくなって。
何日経っても、喪失感は消えないし、
何だか胸が苦しくて、
溜息ばかり吐いてしまう。
一日中、君の事ばかり考えてしまい、
酷い後悔に苛まれ。
でも、どうしようも無かったのだ、と。
自分自身に強がりを言う。
そして。漸く、分かったんだ。
私は生まれて初めて、
本当の意味で、失恋したんだ、と。
正直
正直者が馬鹿を見る。
そんな事、言われなくったって、
嫌って言う程、分かってる。
でも、オレは。
どんなに痛い目に合っても、
オレは、正直に生きていきたい。
こんな事。
青臭いガキの言う事だって、
きっと、お前も言うだろうけど。
オレは、人を騙す人間になる位なら、
人に騙される人間で居たい。
だけど。
正直に生きていたいと、
思ってはいても。
実は。
ずっとずっと、お前に、
正直に言えていない事が、
一つあるんだ。
もし、お前に面と向かって、
正直に、この気持ちを伝えたら、
お前は、何て答えるんだろう。
…お前が好きだ。
って。