亡き父から聞いた話…
父がある朝、洗面所の「鏡」の前に立った
意識はちょっと離れた場所にいる感覚で
「この年老いた爺さんは誰なんだ?」
他人を見るように眺めていたら、ふと我に
かえり、「おっ!ワシじゃないか!」と
まさに気がついたらしく、時空がちょっと
違う感じの不思議な体験をしたらしい
その時の自分の感覚は、まさしく若い
時のままで体と心がまるで別物だったと
話していた…
次は、元々霊感がかなり強い娘が
話していた夢の話…
時代は、随分と昔のようだったと…
周りが障子張りの小さな和室に座って
昔よくあった1面鏡の「鏡」の前で
長い黒髪の若く綺麗な女性が自分の
髪をとかしている…
何だか物憂げで寂しそうな雰囲気だ
「この人は私のようだが…」と咄嗟に
感じたと言っていたが、もしかすると
前世を見ていたのかもしれない
父と娘に共通する物は「鏡」だ…
やはり昔から聞くが、鏡には特別な
力が宿っていると思うしかない体験談だ
一番最初に浮かんだのは
昔の彼との交換日記だったり、誕生日に
彼からもらったアクセサリーだったり…
でっ、書きながらなんか違うなぁ〜
なんて、ふと考えが変わった…
アクセサリーが捨てられないのは
まだ、使えそう…位な感じだし
交換日記は、先々読んだら当時を振り返って面白そうだから…で置いてるだけ
「いつまでも捨てられない物」って
そんなあっさりした理由なんだけど…
よ〜く考えてみると、もっと深くて
実際は手に触れる物とかじゃなくて
それは、「者」人なんじゃないかって…
心の奥底に刻まれた人との記憶って
忘れたようにみえて突然何かのきっかけで
思い出したりして、すごく切なくなったりそれが大好きな人だったり、大切な人
だったりすると尚更な気がした…
捨てたくても捨てられない
自分の人生と一緒に頭の片隅に生き続け
ている「者=人」が誰しも1人や2人
いるんじゃないだろうか…
「誇らしさ…」と聞かれて
頭にポン!と浮かんだのは
次女を出産して病室に戻った時だ
2回目の出産はアットホームな個人病院で
安産だったし、一度経験済みなので
ちょっとだけ余裕があったが、
やはりこの世に生命を産み出すと言う事は
経験してこそわかるが、まさに壮絶だ…
激痛を乗り越えて、やれやれと部屋に
戻ったのは夕ご飯前で、看護師さんが
「ご飯たべれそう?」と聞いてきたので
「もちろん!食べます」と即答した…
今も覚えているが、メニューを一言で
説明するなら「唐揚げ定食」で、
まだ体を起こすには体力がないが、
一緒にいた長女がグズって皆早々に
帰宅したので、私は1人ほぼ寝そべる
体勢で晩ごはんを食べ始めた…
唐揚げを口に入れて噛みしめる度に
「美味しい〜!」と呟き、次の言葉が
「やった!産んだぞ〜!」って叫び…
「私、頑張ったよね!あなたは凄い!」と
誰もいない個室で何だかめちゃくちゃ
1人テンションが上がり、自分自身が
「誇らしさ」でいっぱいになった。
同時に、神様に祝福されているような
幸福感で満たされた事が今も忘れられない
旦那と付き合っていた頃
「夜の海」によくドライブに行った
月明かりが砂浜を照らすくらいで
ホントに静かな場所だった…
何だか良いムードに…なんて事も
たまにはあったかもしれないが
どちらかと言うと、暗闇が不気味で
私は早く帰りたかった…
今は、草食系男子がもてはやされる
時代だが、一昔前は男は男らしくで
車を運転出来るようになった適齢期の
男子なんかは、皆こぞって
「夜の海」に繰り出したもんだ…
さて、その後かなりの時間が過ぎた
今の彼(旦那)の変貌ぶりはと言うと…
毎晩呑む…いい調子で出来上がって
どうでも良い昔の武勇伝を昨日の事の
ように語り…
家族が生返事だとすねて…
家事に追われている私にもスルーされつつ
数十年変わらない定位置を確保している
あ〜…運転する斜め45度の横顔が好きだったなぁ〜…あっ!過去系はまずいか(笑)
いつも、お仕事ご苦労様です♥
ここは、素直に初めて自転車に
乗った時の話をしよう…
私の自転車の初乗りは2年生で
最初の自転車はホントにボロボロで
あちこち凹んだり、色も誰が塗ったか
わからない変な青色だった…
今だに、この代物がどこからやって来た
のかは不明だが、まあ初代の相棒は
このポンコツ自転車だった…
男勝りだった私は、最初から転んでも
壁にぶつかってもお構いなしな女の子で
とにかく、上手くなるには「乗る!」
この一択のみ…だから、案外すぐに
庭先をグルグル回りだした…
しばらくして、近場の公道にデビュー
して、調子づいて乗り回していたが
ある日、バランスを崩して左のブロック塀
に倒れ込んだ……
「痛!…」左の甲に大怪我をしてしまった
それもかなり傷は深い…
泣いて帰る…のが一般の女の子だが…
「自転車に乗って」風を切って走りたい
だからばれると1人で走らせてもらえない
そんな風に思って黙って辛抱した…
もう、忘れる位に時間は過ぎたけれど
今も左手の傷跡だけはうっすらと残り
あの頃の記憶と一緒に、私の胸に残っている…