入学式で一目惚れした彼女
綺麗な黒髪から香るシャンプーの香りは一瞬で私を虜にした。
勉強も運動も人と話すことだって苦手な彼女は、見た目以外取り柄がないと言われても納得できるぐらいだった。そのせいか、都合の良い女として日々汚されていた。
(大丈夫、私はあなたの味方だからね)と、甘い言葉を囁き彼女を堕としていく。
こんな汚い彼女を愛おしく想ってしまうのは、恋か、愛か、それとも…
私は欲しいものは何をしても手に入れる。そのためたら、どんな汚い手を使ったって構わないわ。
(約束だよ!!大人になったら…しようね!!)
あの子が引っ越してから十年。もう、どんな約束をしたのかも思い出せなくなってきた頃にあの子が帰ってきた…
見た目は昔の記憶と随分と変わっていて、女の子のように長かった髪の毛は短く、あの可愛らしいつむじは見えなくなっていた。
歳が少し離れていた私たちは、ほぼ姉弟のような関係で私はあの子を弟のように思っていたが、あの子はそう思ってはいなかったみたいだ。
…そう言えば、約束したな、大人になったら結婚するって。さすがにもう、逃げられないか
雨の日は普段より距離が近く感じる。
相手の吐いた息、肌に触れたときほのかに感じる体温。ちょっとのことだって、普段よりハッキリ感じる…
でも何でだろう、彼との距離が近くになるにつれて心臓がドクンドクンいうの…胸がとっても苦しく感じるから。
傘でこの秘密がわからないように覆い隠して歩かなきゃ
あなたは雨上がりの空気、好き?
私は好きよ。
さっきまでジメジメしていた空気が、空が晴れると同時に爽やかになるの。水が滴っている紫陽花、宝石のような輝きを放つクモの巣、普段美しいと思わないものが美しく瞳に映るの。
1番の理由は、あなたとそれを共感できるから…かしらね。
だから私は雨上がりの空気が好きよ、青春って感じね。
勝ち負けなんて、どうでもいい
だって、全部オレが勝っちゃうんだから笑
運動も勉強もいつだってオレはみんなより優れていた。容姿端麗、家族からも愛されて、周りからも慕われるそんな人生。不満なんてなかった…はず
そんな、いつものつまらない日常はある日終わりも告げた。
…クラスに転校生が来たんだ。
容姿端麗で、勉強も運動もできて性格もいい、あいつはすぐに周りと打ち解けていったよ。
それから月日が随分と経った頃、オレはあいつが隠れた場所でタバコを吸っているところを見た。
いけないことだと思った、すぐに教師に告げればまたオレが1番になれると思った。だけど、オレは言わなかった。いや、言えなかった。オレは、こんなに完璧だったあいつでも、こんな汚いところがあるのかと興奮したからだろうな…この気持ちはなんなのだろうか