誰も知らない場所を見つけた
みんなに追いつこうと頑張った
どうせ無理だとみんなが言う
僕の何を知っているのだ!と
心の中の僕がみんなを叱る
一日、一週間、一ヶ月…
みんなに追いつけなかった
僕は一人でかなり落ち込んだ
誰も知らない場所で考えた
心が安らぐ言葉が浮かんだ
上手くいかなくたっていい
自然と涙が出た
出来ない僕のための最大限の褒め言葉
強く手を握って言葉を変えた
今は上手くいかなくたっていい
未来の僕への最大限のエール
一本道のレールが敷きてある
物心ついたときからうっすら見えた
地元の友達とは違う学校
受験をした頃からはっきりと見えた
僕の前に敷かれた直線
小学校から中学校にあがったとき
友達がガラッと変わった
全く馴染めなかったけど道を進んでみた
大学に入学したとき
友達を作る気が起きなかった
一人で学校生活を過ごすことが増えた
一本道を振り返る
レールから落ちないよう支えてくれた両親
いつの間にかいなくなっていたことに気づいた
僕の中の入道雲がレールの上を覆う
手を広げた
夏の太陽に向かって
38.5℃を捕まえた
ゆっくりと手を開いた
夏の匂いと汗の香りが残る
顔をあげた
蜃気楼が僕に向かって
こいと呼ぶ
ゆっくりと影が歩く
僕の足の下から影が消えた
体が少し浮いた
ここではないどこか遠くに
昨日の自分をおいた
卒業式で君と二人で撮った写真
勇気を出して交換したメルアド
結局一回もメールの返信がこなかった
友達伝いに聞いた
君が病気で悩んでいたことを
病院の名前まで聞いたが行けなかった
卒業してから二年経つと行動力が減った気がする
きっと大人になったのだろう
手紙が届いた
2022年6月2日に亡くなった
文字を読むだけで涙が出る
数年あっていないのに
僕の心は卒業してなかったみたいだ
もう一通の紙がある
ドラマでよくみる展開と期待した
しかしお通夜の案内文だった
他人の人生の主演にはなれなかった
君と最後にあった日は
僕にとって確かにあった青春の一日で
君が主演だった
息を吐く
息を吸う
大きな荷物を抱え
小さな電車に乗り込んだ
行き先は決めない
1年後…
息を吐く
息を吸う
小さな荷物を抱え
大きな電車に乗り込んだ
ここに居場所はない
5年後…
息を吐く
息を吸う
大きな荷物が増えた
小さなトラックに載せる
もう僕は一人じゃない
50年後…
息を吐く
息を吸う
小さな病気が見つかった
大きな病院でも治せない
君を一人にさせたくない
半年後…
震える手で文字を書いた
あなたに出会えてよかった
ありがとう