あの時に戻れたなら、今、僕は
幸せになっていただろうか?
あの人と、やっぱりドキドキを忘れられなくて
腕の中に包み込んだだろうか?
もしも、タイムマシンがあったら、
僕は、あなたが好きですと、素直になれただろうか
多分、やはり、伝えなかったかもしれない。
僕は、あの人を幸せには出来なかっただろうから
今、僕は、多分幸せだから。
十分、何も望むモノなど無く、未来を
このまま進めたら、それでいい。
また、けんかじゃないけど、
話しがまともにできなくなった。
話すタイミングも、わからない。
二人きりで、面と向かって、一言二言
交わすだけなのに。そうすれば、
元に戻るって知ってるのに。
それが、なかなかできない。
手を取り合う前に、心が通じ合わないと
僕は、いつも歩き出せない。
僕は、あなたと今日も一緒にいられた。
ただ、隣にくつろいで、
無言で、でも、確かにあなたを感じて。
幾つもの物語が、二人にはあったけど、
また、明日も明後日も二人でいられますように。
これが、僕らの七夕の願い事…。
もくもくと、いつの間にか目の前に大きな雲
てくてく歩いて、ふと見上げた空に
あの入道雲は、綿アメみたいにおいしそう。
両手の指で作った四角の枠に
いっぱい、いっぱい。青空に襲いかかるように
成長して。寝そべって見上げると、
悩みがちっぽけになつて、どこかへ飛んでった。
悲しそうに、淋しそうに、
そんな素振りを見せずに、あなたは
僕の前からいなくなった。
電話の受話器の向こうに、
あなたの、僕への気持ちが残っているのか
聞き出せなかった。
最後にあったとき、あなたと僕は
少しだけ抱きしめ合った。
まさか、あなたと会えなくなるなんて
そんなことを考えもせず、
僕は、突き放してしまった。
ぽっかり空いた穴は、本当にふさがらないって
あとで気づいた。最後にあなたに会った記憶は
ドアを閉めたあなたの背中だけ。